東大発AIが選んだラーメン名店ランキングに評論家が「ちょっと違和感…」のワケ

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 食事の場所を探す時、ついつい覗いてしまうグルメランキングサイト。「食べログ」や「ぐるなび」はその代表格だが、評価のポイントとなる星の数や、書き込まれたユーザーによるレビューの信憑性に疑問を持つ人は少なくないだろう。

 このほど、そんな疑念を完全払拭したと謳うランキングが現れた。現役の東大大学院生が経営するIT企業「TDAI Lab」が公表した「WISE RAMEN AIが選んだ本当に美味しいラーメン百名店 in 東京 2019」がそれ。独自開発した人工知能(AI)による格付けだそうな。

 栄えある1位に選ばれたのは、新潟県に本店がある「青島食堂 秋葉原店」。生姜の風味が特徴の「青島ラーメン」が人気の店だ。以下、2位「ラーメン二郎 ひばりヶ丘駅前店」、3位「ラーメン二郎 三田本店」、4位「ほっこり中華そば もつけ」という具合。だが“機械”による選定で、店名だけ並べられても何だかよく分からない。そこで専門家に見解を聞いてみた。

「ちょっと違和感というか、意外な印象があります」

 と、首を傾げるのはラーメン評論家の大崎裕史氏。

「この手のランキングには、開店2~3年の新規店が上位に入る一方で、老舗が外れていくケースが多いんです。ところがこれは正反対。新規店はほとんどなく、逆に50年以上も続く老舗が何軒も入っています。また、八王子市内の店舗が6軒も入っているなど、地域的な偏りも気になります」

 中には麺類より炒飯が有名な店の名も。ウ~ム、さすがの人工知能にも味覚の格付けは難しかったか。

「実は、大崎さんのご指摘はごもっともなんです」

 頭を掻きつつ話すのは、先の「TDAI Lab」の福馬智生社長(26)だ。

「僕らが開発したAI『WISE REVIEW』は、最新のネットワーク分析や自然言語処理技術を用いて、星の数や文章を解析します。商品を貶める“アンチ”や、不当に購買意欲を煽る“サクラ”や“やらせ”をフィルターにかけ、店舗ごとにレビューの信頼度を数値化した結果があのランキング。味は関係ないんですよ」

 評価の基準は、味ならぬレビューの良し悪し。つまりは順位が高い店ほど、信用に足る“良いレビュー”を書く客を多く持っているというワケだ。先の大崎氏に“タネ”を明かすと、

「そういうことなら納得ですよ。コアなファンがいる『二郎』や常連が多い老舗のお客さんにこそ、強い思い入れがありますからね」

 今後は“客に愛されているか”も、店選びの目安に。

週刊新潮 2019年12月5日号掲載

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