神田松之丞、伯山襲名会見で春風亭昇太は「この人は売れないと思ったんだけどな……」

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落語家になってくれ

――そこへ東京MXの記者が挙手。

MX:MX的な話題で恐れ入りますが、1月1日の午後5時から生放送の「座TOKYO」という特別番組にご出演いただけるということで、誠にありがとうございます。

松之丞:アー、かみさんが、なんか取っちゃったという仕事ですね。

MX:ものすごく小さいスタジオに高座を設けまして、お待ちしておりますけど……。

松之丞:聞いてないですけど、そうなんですか。

MX:東京の魅力を東京出身のゲストと語るという番組なんですけども、晴れて“MXファミリー”といいますか……。

松之丞:ンン?

MX:初ご出演ということで、その意気込みをお願いします。

松之丞:全部、今聞いたのが初耳の話だったので、非常に新鮮に聞こえるなと思ったんですけど。そうですね、東京の人口が今1200万人くらいですか? 東京MXって、どんくらい見てるんですか?

MX:ど、どんくらい見てる?……かなりの人たちが見ていると期待しております。

松之丞:その人たちにね、高座の魅力を少しでも伝えて。どこのバラエティ番組に出てもそうなんですけど、最終的にこの人の講談を生で聞きに行ってみようと思ってもらいたい。名刺を配ってるのと同じだと思っているんで、メディアはどこも変わらないんです。そうですか、1月1日?

MX:1月1日、午後5時です。

松之丞:頑張ります。

昇太:ボク、まだ呼んでもらってないです。

質問:師匠からのアドバイスで心に留めているものは?

松之丞:そうですね、最初に師匠と会ったときに約束したのが印象に残っています。「絶対、辞めるな」と言われました。僕、前座修行が本当に向いてなくて、一生懸命やってんですけどダメなんですよ。昇太師匠が「見込みがない」と言ったのもよくわかるんです。1年目か2年目のとき、辞めようかなと思ったことがあるんですよ。「辞めて名古屋の落語家になろうかな」と思ったこともあるんですが、うちの師匠の顔がちらついてね。「絶対、辞めるな」が響いて頑張ろうと。今後、僕がスキャンダルを起こしても、それを思い起こそうと思っています。どんなにお客さんが減ってもね。

質問:人気の松之丞さんですが、まだまだ知らない人は多い。そういう人を引っ張るための考えとは?

松之丞:僕の講談って、師匠のような重厚でかっちりしたものでなく、いろんな人に聞いていただく講談をやってしまっているので、常連のお客さんにすると「嫌だ、あいつ」と言う方もいると思うんです。ただこれは、落語家さん、たぶん昇太師匠が一番経験されていますよね。飲み会の席で、常連の奴に嫌なこと言われたりとか。師匠、どうですか?

昇太:ええーっ! 僕たち気をつけなきゃいけないのは、落語ファンも講談ファンもそうですけど、昔の師匠方を聞いていた“通”といわれる人たちの意見は聞かなきゃいけないんだけど、それだけ聞いていても全然ご飯は食べられない。僕たちは僕たちの世界を新しく構築していって、それを発表する中で、新しいお客さんが入ってきたりする。僕は寄席というのはデパートだと思っているんです。いろんな商品があるから、お客さんが来てくれるんであって、同じ商品が並んでたって来ないんです。だから他の方とは違う人になるのが僕らの世界ではいいことだと思うし、彼は別の商品になっているってことが今の人気につながっているんだと思います……なかなかいいこと言うな。

松之丞:会長、僕から質問させてもらっていいですか。ここに松鯉、柳橋、伯山って大看板の名前が並んでいるんですけど、会長だけ前座名なんです。なんか、金語楼とか継いだりしないんですか?

昇太:そういえば、僕だけ安っぽいな。画数が明らかに少ない。でも、伯山だって画数少ないよ。

松之丞:画数じゃないから。

昇太:そんなこと言うなら逆に質問したいんだけどさ。このプロフィール見てたら、《趣味・落語を聞くこと》ってある。それなら落語家になってくれよ!

週刊新潮WEB取材班

2019年12月5日掲載

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