栃木少女連続監禁事件、犯人逮捕後も「家に帰りたくない」と言った少女2人の家庭環境

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児童相談所?

 茨城の女子に関しては、自宅の部屋にあった幾つかの携帯番号の走り書きから、茨城県警が仁士の自宅を割り出し、捜査員が訪問したという経緯がある。行方不明届が出てから1カ月が経過した今年7月のことだ。

「捜査員は自宅内に入って容疑者と話したのですが、“そんな人はいません”と言われ、捜索もしたが女子を見つけられず。女子は発見されないよう床下へ隠れていて、県警の失態と言われても仕方ありません。また今回、容疑者が逮捕される前に捜査員から話を聞かれた彼女は、“私は栃木の人間で、言われているような茨城の女の子ではありません”などと主張したようです。せっかく自分の居場所を見つけたのに自宅には絶対戻りたくないという一心で、“本気で結婚したいと思っているんです”と話していました」

 とは、ある捜査関係者。

 当然、女子は事件後、茨城に住む親と面会したものの、「実家に戻りたくない」という意思を示したという。いわば荒涼たる家族からの逃避を貫くなら、児童相談所が彼女の次の居場所になるという。同様に、大阪でも、母娘の感情の壁は埋めがたいものがあるようで、娘との1週間ぶりの対面に母親は息が詰まるように泣き、喜んでいた一方で、

「“感動の対面”を果たしても女の子は全然喜んでいなかったようです。彼女の家は母子家庭で、だからというわけではありませんが母親はネグレクト気味でした。府警も“単なる家出なのですぐに戻って来るだろう”と見立ててまともに探していなかったとか。女の子の方は保護された後も“家には帰りたくない”と言って捜査員を困らせる場面も。今後は児童福祉施設で生活することになるようです」(先の捜査関係者)

 ともあれ、今回もSNSが犯罪の元凶となってしまった格好だが、評論家の呉智英氏は、「SNSは便利だけど、それくらい危険なものということです」と指摘し、続ける。

「変質者は常に誘拐の機会を窺っていると思いますが、公園で声をかけると、変なオジサンだと気づかれてしまいます。一方、SNSであれば、全く見ず知らずの状態で、しかも北海道から九州までをターゲットに誘い込むことができる。女の子に落ち度があるとは言いたくないですが、女の子も油断があって、つい誘いに乗ってしまったということも言えるでしょう」

 女の子の母親は事件後、

「スマホは小5の頃から持たせていた。知らない人には付いて行かないようにと教えていた」

 と振り返った。SNSにしか居場所を求められなかった子供は知らない人にも付いて行く――。この事件で得られた教訓があるなら、そういうことかもしれない。

週刊新潮 2019年12月5日号掲載

特集「摩訶不思議な『少女連続監禁事件』犯人は『安倍晋太郎元外相』金庫番の孫だった! 奇妙な共同生活を生んだ『被害者の家庭環境』」より

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