「なんとかペイ」IT大合併でわかった大苦境

ビジネス 週刊新潮 2019年11月28日号掲載

  • ブックマーク

 そのニュースを知って「現代の薩長同盟だ!」と持ち上げて見せたのは、とある有名ブロガーだが、これは、むしろ織田信長と徳川家康が手を握ったようなものだろう。強者連合という意味だけではなく、キャッシュレス決済そのものが食うか食われるかの戦国時代にあるからだ。

 スマホ決済「ペイペイ」を展開するZホールディングス(旧ヤフー)と、「LINEペイ」のLINEが経営統合すると発表したのは、11月18日。流通業界誌の記者が解説する。

「両社は、QRコード決済という方式を取っており、導入コストや手数料がクレジットカードより安い。日本のキャッシュレス決済の規模は約80兆円といわれていますが、政府の後押しで、6年後には95兆円に拡大すると見られています。それもあって、QRコード決済には両社のほか大手携帯会社やメルカリ、外資などが次々に参入。今や10社以上の“なんとかペイ”がひしめき合っている状態なのです」

 うまくいけばざっと約3兆円の手数料が転がり込んでくるとの試算もあるが、現実はシビアだ。ITジャーナリストの三上洋氏が言う。

「ご存じのようにペイペイを始め、大手は100億円単位で還元キャンペーンを乱発しましたが、一方では加盟店を増やすために2021年まで手数料を取りません。つまり、どの“ペイ”も3年間は大赤字を垂れ流すことが決まっている。決済ビジネスは“使える店”がどれだけ多いかが決め手だからです。そんな消耗戦で生き残るためには、大手同士の合従連衡が一番手っ取り早かった」

 ライバルも守勢挽回に必死だ。同じグループ(MoPA)からLINEペイを引き抜かれた「d払い」(NTTドコモ)は、「メルペイ」(メルカリ系)との関係を強化し、KDDIの「auペイ」は「楽天ペイ」(楽天系)とタッグを組んで巻き返しを図る。一方で、「強者連合」も力関係が透けて見える。ソフトバンクの資金力にものを言わせるペイペイに対し、LINEペイは“300億円祭”で勝負に出たものの、途中で弾が尽きてしまっている。親会社のネイバー(韓国)も支えきれずに、統合に踏み切ったとの見方がもっぱらだ。

「他にも資金力のない会社は、早晩飲み込まれる運命でしょう」(同)

 ま、利用者にとっては、“なんとかペイ”が少なくなれば、ややこしさも減るメリットはある?