沢尻エリカをさっそく持ち上げたテリー伊藤 背景にエイベックスとの浅からぬ関係?

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テリー氏とエイベックスの関係

 これらテリー氏の発言の是非は別とし、テリー氏と沢尻容疑者の所属事務所番、エイベックス・マネジメントは、浅からぬ関係にある。番組では触れられていないものの、テリー氏の初監督映画「10億円稼ぐ」(2010年)の配給は、同資本系列の エイベックス・エンタテインメント。全国の高校ダンス部の頂点を決める「DANCE CLUB CHAMPIONSHIP(全国高等学校ダンス部選手権)」を主催するのはエイベックス・マネジメントで、テリー氏はその審査員を毎年務めている。

 さらに2010年には、キャラクター・ブランド「NANITY70♥(ナニティー・セブン・オー・ハート)」を、エイベックス・エンタテイメントやエイベックス・マーケティング、クラウン・クリエイティブとテリー氏が社長を務めるロコモーションが共同で開発した。中心となったのはテリー氏だ。

 テリー氏とエイベックスの関係は、テレビ界、芸能関係者の間では知られた話。「サンジャポ」のプロデューサーたちもまた、知っていたはずだ。まさかテリー氏の言葉が、エイベックスとの関係を背景に偏向していたということはないだろうが、番組側や本人は視聴者に対し、事前に沢尻容疑者の所属事務所の関係を伝えるべきだったのではなかったか。誤解を生まないためにも。それがニュースを語る際の条件だろう。

 日本テレビの情報番組「シューイチ」(日曜7:30)の司会を務める片瀬那奈(38)の場合、11月17日の放送で、沢尻容疑者が妹のような存在であると明かした後、「裏切られた気持ち」などと涙ながらに非難した。TBSも「報道特集」などのニュース番組では、ニュースを論じる人の立場を明確にしているはずだ。「情報バラエティーだから何でもあり」とは、見る側は考えないだろう。

「サンジャポ」は司会の太田光が、「覚せい剤とマリファナとMDMAと、どれくらい止められるか。沢尻さんはMDMAなわけだから、もしかしたら、ちゃんと更生して、また女優にということも考えられるのか。その辺が分からない」とも発言した。

 これにも杉村は語気を強めた。

「甘いと思う。どう考えても。この時点で復帰なんて」

 確かに、刑事事件の逮捕者について、取り調べが始まったばかりの段階で、テレビで復帰論が語られるのは異例中の異例。一般社会はコンプライアンスの厳守化が進むばかりだが、逆行しているように映る。

 この放送の翌日、11月18日には、警視庁記者クラブに加盟する各マスコミは「沢尻容疑者が『10年以上前から大麻やMDMA、LSD、コカインを使用していました』と供述していることが、警視庁への取材で分かった」などと報道した。これもまた異例だった。逮捕後48時間の警察調べの内容が、こんなに早く公になるのは珍しい。記者たちの間には、「逮捕したばかりの段階で、復帰話や判決の予想までが出たことが、捜査陣の心証を害したからではないか」との見方がある。

 実際、まだ捜査が始まったばかりで、もちろん起訴前なのに、復帰スケジュールが公然と語られたら、捜査陣は釈然としないだろう。また「執行猶予3年」などと早々とテレビで公言されてしまったら、捜査や裁判が形骸化してしまいかねない。第一、どの事件の捜査も、逮捕直後の段階では予断を許さない。沢尻容疑者のケースも、「サンジャポ」が2週にわたって復帰論を繰り広げた後の11月26日、元交際相手のファッションデザイナー・横川直樹容疑者(38)が逮捕され、新しい局面に入っている。

 沢尻容疑者の逮捕から8日後の11月24日、テリー氏は「サンジャポ」でこう論じた。

「僕は演出家ですよ。で、たぶん来週の火曜日に彼女は出て来ますよね。その時の彼女の表情、これがどうなるか。そうすると、魔力みたいなものがある可能性もあるんですよ。そうするとね、『いいなぁ、また見てみたいなぁ』と本能的にね」

 テリー氏の言った「火曜日」とは、最初の勾留期限(10日間)切れで11月26日。説明するまでもなく、実際には勾留されたまま。弁護士や記者たちの大半は、勾留が延長されると見ていた。勾留期限は最大23日間だ。

 沢尻容疑者への法の裁きと芸能活動の行方はあくまで別問題だろうが、「サンジャポ」の街頭アンケートでは引退が妥当する声が多く、100人中72人だったという。

 逮捕早々、復帰論が唱えられたことが、逆に世論の反発を招いてしまったのではないか。

鈴木文彦/ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2019年11月30日掲載

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