高校野球の球数制限、それでも残る課題を「元エース球児」ら語る

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「1週間に500球まで」。来春のセンバツ大会から、球数制限導入の見込みとなった。日本高等学校野球連盟(高野連)がようやく重い腰を少し上げただけに見えなくもない。批判を避けるためでなく、本当に議論は尽くされたのか。

 高野連が設置した「投手の障害予防に関する有識者会議」が答申案を発表した。今月5日のことだ。

「そして今月下旬、答申が高野連の八田英二会長に渡り、理事会で球数制限の導入が決まるでしょう」

 と語るのは、さるスポーツジャーナリスト。

「これで私立と公立の格差は決定的になりますね。エース級の投手を多く揃えられる強豪私立は対応可能です。実際、大阪桐蔭などのスカウトは全国の中1の有望選手にまで目をつけていますから。一方、大多数の公立は地元の選手を集めて育てるしかない。公立が勝つ唯一の手立てが、昨年の吉田輝星のような絶対的エースの連投。でも、球数制限で不可能となります」

 吉田投手のケースを振り返れば、甲子園の決勝以外は一人で投げ切り、総投球数881。2回戦からの1週間は592球を投げた。しかし、今回の基準なら準決勝の途中で500球に届く。そこでオシマイだ。吉田投手を使い続けた金足農業(秋田)の中泉一豊監督は現状をどう見ているのか。

「やはり、公立高はエースが投げて勝ち上がるしかありませんよ。球数制限があると複数の投手を用意しなければならない。投手づくりはそんな簡単なものではないんですが……。あとは、投げたいのに投げられないと、選手の気持ちが制限されるのはツラいですね」

 この中泉監督の意見が、公立の総意ではあるまいか。

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