「秋ドラマ」ワースト3は…TVコラムニストが辛口採点

芸能 週刊新潮 2019年11月21日号掲載

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●やかまし・い【喧しい】《形》(1)騒がしい。静かでない。(2)煩わしい。(3)「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」(日テレ)のこと。

 上司の遺体とともに目覚める主人公の刑事・賀来(かく)賢人。しかも記憶がないという何やら興味深いスタートを切ったのに、まあ、とにかく、喧しい。悪しきクスリを常用しているかのごとく、ハイテンション&瞳孔開きっぱの工藤阿須加といい、思わせぶりな立ち居振る舞いが上滑りしている井浦新(あらた)といい、落ち着かねー。捜査会議で刑事どもがわちゃわちゃ喧嘩始めるわで、マジうるさい。今期ドラマが始まる前に最も期待していただけに、肩甲骨が音を立てて床に落ちるほどの失望。警視庁内部の小競り合いとボカスカ殴り合い、そして顔面傷だらけで相互理解。何だこれ?

●ま-だるっ-こ・い【間怠っこい】《形》(1)「間怠い・目弛い(まだるい)」に同じ。手間どっておそい。いらいらするほどのろい。まどろっこしい。(2)「モトカレマニア」(フジ)のこと。

 5年前の恋人を忘れられず、ついには妄想が現実と交錯するほどの病みっぷり。病人、もとい、主人公は新木優子。その元彼は高良健吾。こじらせるとかそういうレベルではない。原作のように自虐ギャグ化が達観というか、ある意味完成していれば笑えるのだが、その境地には至っておらず。高良の目も致死状態。しかし、本当に要加療なのは山口紗弥加という点が捨て置けぬ。珍しくソウルレスな浜野謙太も、地面スレスレの低い位置からいい女風吹かせまくりの田中みな実も、最後まで凝視したい。新木も高良も脳内多重人格シーンがあるので、撮影は無駄に時間かかるだろうな。若い世代にはウケているらしいので、元は取れているよ。

●そらぞら-し・い【空々しい】《形》(1)そらとぼけている。見えすいている。わざとらしい。(2)「4分間のマリーゴールド」(TBS)のこと。ワースト1。

 119で駆けつける救命救急士の福士(294)蒼汰は、手を重ねるとその人の臨終シーンが見えるというファンタジー。血のつながらない姉・菜々緒(770)と相思相愛っつう禁断の愛。父権を振りかざす長兄・桐谷健太に、女子ウケのために投入された料理上手で可愛い弟・横浜流星、家族の絆っつうホームドラマ。どうやら770が死ぬらしいという感涙&感動系。

 ちょっと盛り込み過ぎやしませんか。294と770は美しいけれど、内容は山ナシ谷ナシ濡れ場ナシのフランス書院系。義姉や義母が大活躍する文学作品ね。

 救命救急と禁断は好物だが、ファンタジー・死でお涙頂戴・棒演技はどうにもこうにも苦手なもので。

 あ、もうひとつ絵にも描かなかったドラマがあった。

●こ・ざかし・い【小賢しい】《形》(1)利口ぶって、なまいきである。(2)わるがしこい。(3)「CHEAT~詐欺師の皆さん、ご注意ください~」(日テレ系)のこと。どう見ても本田翼が賢く見えず、風間俊介には威厳のかけらもない。詐欺師の皆さんのほうが上。安っぽいという形容詞も進呈。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビ番組はほぼすべて視聴している。