日本vs.キルギス 「退屈で凡庸な90分」で思い出したゲーリー・リネカーの名言

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

どんな内容でも勝ちは勝ち

 カタールW杯アジア2次予選のキルギス戦が11月14日、ドレン・オムルザコフ・スタジアムで行われ、日本は南野拓実(24)と原口元気(28)のゴールで2-0の勝利を収めた。この結果、日本は無失点での4連勝で勝点を12に伸ばし、グループFで首位の座をキープ。第5戦は来年の3月26日、ホームでミャンマーと対戦する。

 ***

 スタジアムを埋め尽くしたキルギス・サポーターは、もちろん母国の勝利を期待したことだろう。あるいはヨーロッパの名門クラブで活躍する選手も少なくない日本代表の華麗な攻撃サッカーを楽しみにしていた者もいたかもしれない。

 だが、キルギスは敗れ、日本代表のサッカーは華麗でもなければ攻撃的でもなかった。退屈で凡庸な90分間にがっかりして家路についた地元ファン・サポーターも多かったのではないか。

 だが、これが実力の差でもある。例えセットプレーからのゴールであっても1点は1点。プロが最優先するのは勝利だからだ。

 森保一監督(51)は、U-22日本代表を優先した久保建英(18)と堂安律(21)の代わりに右MFにはスピードのある伊東純也(26)を起用。そして左MFには中島翔哉(25)ではなく攻守に戦闘能力の高い原口をスタメンで送り出した。

 ピッチはデコボコで、なおかつヨーロッパの古いスタジアムにありがちな粘土層のため滑りやすい。このためドリブラーの中島ではなくフィジカルの強度が高い原口を選択したのだろう。

 予想通りグラウンダーのパスは、時折不規則な動きをする。そこで日本はロングボールを多用して永井謙佑(30)や伊東の快足を生かそうとした。しかしキルギスも日本を研究していたようで、永井へのパスに対してはGKクトマン・カディルベコフ(22)がペナルティエリアから飛び出してクリアしていた。

 最初に決定機をつかんだのは日本で、前半18分、タテパスを受けた南野が密集を抜け出しGKと1対1からシュート。しかしこれはGKに阻まれ右CKに変わる。一方キルギスもカウンターからチャンスをつかみ、前半32分にはグルジギト・アリクロフが左サイドを突破してラストパス。これをベクジャン・サギンバエフ(25)が至近距離からボレーで狙ったが、こちらもGK権田修一(30)の好プレーに阻まれた。

 スコアが動いたのは前半41分だった。遠藤航(26)のスルーパスに「スペースにボールが来そうだったので走り込んだ」という南野がGKに倒されてPKを獲得。これを南野がきっちりと決めて日本が先制した。これで南野はW杯予選で4試合連続ゴールとなり、93年に三浦知良(52)が記録した3試合連続ゴールを更新した。

 PKにつながるパスを出した遠藤は後半もゴールに貢献する。後半8分、ドリブルでキルギス・ゴールに迫ったところで倒されてFKを獲得。キッカーの原口はゴール左スミにきっちり決めて(公式記録は後半9分)キルギスを突き放した。

 後半23分にはキルギスにも決定的なチャンスがあったが、GK権田がしっかりブロックしてゴールを死守すると、その後は両チームとも見せ場のないまま試合はタイムアップを迎えた。

次ページ:ホームでも足が攣っていたキルギス代表

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。