トンデモない理由で一軍拒否…ファンを失望させた「外国人選手」リスト【野手編】

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 プロ野球の世界で、外国人選手はチームの戦力を大きく左右する存在となっている。その中で高額な年俸で大きな期待を受けながら、それに見合うような結果を残せず「戦犯扱いされる選手」は少なくない。今季、期待外れだった外国人選手は誰か。今回は「野手編」だ。

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 強力打線でパ・リーグ連覇を果たした西武だが、そのラインアップに外国人選手の名前が載ることは少なかった。野手で唯一の外国人登録選手であるメヒアは、2014年にシーズン途中入団で、史上初となる本塁打王を獲得し、その後も本塁打を量産したが、3年契約を結んだ17年から成績が落ち始め、昨年はわずか9本塁打。今季はさらに出場機会も減り、75試合出場で打率.211、6本塁打、31打点に終わった。シーズン終盤やクライマックスシリーズでは、持ち味の長打力で印象的な働きも見せたが、5億円の年俸に見合う活躍とはお世辞にも言えない数字で契約最終年を終えた。

 日本での実績組では、オリックスのロメロとマレーロも微妙な成績に終わっている。ロメロは8月に月間打率.385を記録するなど、打率3割をマークしたが、度重なる故障に見舞われ、来日3年目で最少となる81試合出場に終わった。年俸2億7500万円のロメロは、体調万全なら不動の4番打者として頼れる存在だが、それだけにいったん故障離脱すれば、チームにとっては大きな痛手となる。

 マレーロは17年に途中加入してNPB通算10万号本塁打を記録するなど、好成績を挙げたが、2年目の昨季は11本塁打を放つも打率.201と低迷。1年目の活躍を期待されて契約延長された今季は43試合の出場にとどまり、わずか2本塁打と振るわなかった。

 セ・リーグの日本実績組では、中日のアルモンテが外国人枠と故障に泣いた。来日1年目から「ハンマー」と呼ばれた強力な打撃で、リーグ5位の打率.321をマークしたが、2年目の今季は開幕から不振が続いた。チームはロメロ、ロドリゲス、マルティネスの強力投手陣に、ビシエド、モヤと「外れなし」の外国人枠争いで生き残れず、二軍暮らしを余儀なくされた。野手のライバルであるモヤがオリックスに移籍し、一軍復帰を果たした7月以降はハイアベレージをマークしたが、8月13日の試合中に走塁で右足を負傷し、無念の戦線離脱。打率.323は立派な数字だが、出場数が49試合では、助っ人の役割を果たしたとは言い難い。

 輝かしい実績を引っさげて来日し、打線の軸に期待された新外国人選手にも結果を残せなかった選手は少なくない。ロッテのバルガスは、MLB通算236試合の出場で35本塁打を記録。17年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではプエルトリコ代表としてチームの準優勝に貢献し、同年のシーズンではミネソタ・ツインズで最長飛距離となる147メートル弾を記録するなど、大砲候補として期待された。しかし、変化球を多投する日本の投手に対応できず、35試合出場で打率.179、1本塁打、6打点とほとんど戦力にならなかった。

 オリックスのメネセスは、MLB経験はないが、18年に3Aで三冠王に近い成績でリーグのMVPに輝いた右の大砲候補だった。27歳と若く、日本での成長も見込まれたが、シーズン途中にドーピング違反が発覚し、わずか29試合出場で打率.206、4本塁打、16打点の成績を残して6月27日付で契約解除となった。ドーピング違反と言えば、広島のバティスタも8月中旬に出場停止処分になったが、こちらは26本塁打を記録しており、この選手を期待外れの選手に入れるべきかどうかは、判断が難しいところだ。

 台湾プロ野球でシーズン打率4割を二度マークし、三冠王にも輝くなどMVP2回の活躍で「台湾の大王」と呼ばれた王柏融も、日本ハムでの1年目は88試合出場で打率.255、3本塁打、35打点と微妙な成績に終わった。開幕戦の5番からクリーンアップでの起用が続いたが、8月14日には6番に降格し、その後は7番、さらにスタメンも外れて代打要員と、日本野球のレベルの高さを痛感する結果となった。

 巨人のビヤヌエバは、18年にサンディエゴ・パドレスで正三塁手の座を確保してシーズン20本塁打を記録した正真正銘の現役メジャーリーガーだった。ナ・リーグの月刊最優秀新人賞を獲得し、守備の評価も高いMLBでもホープだった大物候補の来日に期待が高まったが、開幕から打撃不振で5月頭にはスタメン落ちとなり、最終的には73試合の出場で打率.233、期待された本塁打も8本にとどまり、1年限りで日本を去ることになった。

 阪神は新外国人のマルテが右ふくらはぎの張りで出遅れたが、最終的には打率.284、12本塁打、49打点と1年目としてまずまずの成績を残した。来季の残留もほぼ決まり、真の評価は来年以降となるが、マルテ以外の外国人野手は、阪神が近年悩まされ続けている『期待外れの外国人野手』に終わった。

 18年に途中入団し、打率.276、3本塁打と微妙な成績ながら残留したナバーロは、開幕戦に6番でスタメン出場を果たしたが、貧打で4月末には二軍落ちし、そのまま一軍に戻ってくることはなかった。最終成績はわずか15試合の出場で打率.209、0本塁打、2打点。当初から2年目の残留を疑問視する向きも少なくなく、ある意味、“期待通り”の期待外れ外国人と言えた。

 オールスター明けには、貧打解消の切り札として18年までメジャーで5年連続2ケタ本塁打をマークしていたソラーテを獲得したが、これもある意味、阪神らしい“ハズレ外国人”だった。「セクシータイム」の異名を持つスイッチヒッターは、来日早々に球団通算8000号となるメモリアル本塁打を放つなど、派手な活躍も見せたが、徐々に安打が出なくなり、打率1割台と低迷してわずか20試合の出場で二軍落ち。9月に一軍昇格に向けて、広島遠征していたチームに合流したが、球場入りしてスタメンでないことを知ると、「モチベーションが上がらない」という直訴してベンチ入りを拒否。前代未聞の事態に球団サイドがソラーテの解雇を決断し、わずか2カ月足らずで退団となった。

 近年は昭和の時代ほど、打線の中での外国人選手への依存は大きくなくなっている。それでもやはり、強力な外国人スラッガーの存在が、チームの順位を左右することになるケースは少なくない。

 阪神の場合は特に、マートン、ゴメスを最後に、来日時の大き過ぎるほどの期待に応えられない外国人選手が続き、貧打線と呼ばれる“元凶”になっている。逆に今季までのメッセンジャーやリリーフで活躍したジョンソンなど、投手では当たりの助っ人が少なくないだけに、「大砲候補」が期待通りの働きをすれば、混戦のセ・リーグのペナント奪取も見えてくるはずだ。

※推定年俸は宝島社『プロ野球選手データ名鑑2019』などを参照

野球ライター・山村智雄

週刊新潮WEB取材班編集

2019年11月9日掲載

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