巨人「原監督」の考えは甘い! DH制を導入しても「セ・パの格差」を埋められない“根拠”

野球 2019年11月8日掲載

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「(セ・リーグも)DH制は使うべきだろうね。DH制で相当、差をつけられている感じがあるね」

 日本シリーズでソフトバンクに4連敗を喫した巨人の原辰徳監督が10月24日、オーナー報告を行ったが、その後の取材でパ・リーグに追いつくためにはセ・リーグでもDH制(指名打者制)を導入すべきとの考えを示した。果たして、セ・リーグはDH制を導入すれば、本当に強くなるのだろうか。多角的に検証してみた。

 まず、原監督の意図するところや強くなるという意見は、野手のレギュラーが単純に1人増えて、それだけ選手の出場機会が増えるというものだ。守備に難はあるものの、打撃に秀でた選手の活躍の場が確保され、チームとしての攻撃力も上がるという意見は確かに一理ある。

 とはいえ、DH制を導入すれば、セ・リーグの球団が強くなるかといえば疑問である。順を追って、その根拠を示していきたい。

 パ・リーグにDH制が導入されたのは1975年のこと。その2年前にMLBでア・リーグが採用したことを参考に取り入れられた。75年から84年までの10年間、日本シリーズの成績は5勝5敗と拮抗している。

 日本シリーズでのDH制は、85年に全試合で初めて採用されたが、翌年は全試合で不採用。そして87年からパ・リーグの本拠地ゲームのみで採用される形となり、現在までそれが続いている。

 85年から94年までの日本シリーズの成績は、パ・リーグが6勝4敗と勝ち越したが、95年から2004年では逆にセ・リーグが6勝4敗と盛り返している。75年から04年までの30年間、日本シリーズの成績は15勝15敗である。パ・リーグが、DH制の導入によって強くなったわけではないことが鮮明になっている。

 それはMLBでも同様だ。先述したように73年からア・リーグではDH制が導入されているが、ナ・リーグには現在もDH制がない。過去10年間のワールドシリーズの成績を見てみると、DH制のないナ・リーグが6勝4敗と勝ち越している。このことからもDH制を導入しているリーグの代表が必ずしも強くないことがよく分かる。

 日本球界に話を戻そう。それまで拮抗していた“セ・パの力関係”がパ・リーグ優位へと傾いたのは、04年に起こった「球界再編問題」以降である。その翌年05年から今年までの15年間にわたる日本シリーズの成績は、パ・リーグが12勝3敗と圧倒している。やはり、「球界再編」をきっかけに、それまでの編成や育成などを見直して、パ・リーグが生まれ変わったと考える方が妥当ではないだろうか。

 セ・パ交流戦の結果をみても、それは顕著だ。05年から19年までの15回でパ・リーグが14回も勝ち越しているが、今年の交流戦でもセ・リーグはDH制がない本拠地の試合で23勝31敗と、パ・リーグに完全に負け越している。パ・リーグの球団からすれば、投手が打席に入り、普段守備につかない選手が守る必要があるセ・リーグ本拠地の試合は不利なはずだ。これは制度の有無とは関係なしに“パ・リーグの優位”を示しているといえるだろう。

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