京大霊長類研究所「研究費20億円ロンダリング」で「人間の本性」がむき出しに

社会 週刊新潮 2019年11月7日号掲載

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 愚かしくも愛すべき人間とは一体「何者」なのか。我らの思惟や思索の目的地は、つまるところこの一点に集約される。そんな壮大な問いを前面に掲げ、日夜、研究に励むのが京都大学の霊長類研究所(霊長研)だ。なるほど、そこには実に「人間臭い」人々がいた。

〈ヒトを含めた各種霊長類を比較研究することで、「人間の本性」を知ることができます〉

 霊長研は、自らの研究概要をこう謳(うた)っている――。

 国内唯一の霊長類の研究所である霊長研。ゴリラ研究の第一人者として知られ、現在の京大総長である山極寿一氏も同所の助手を経て目下の地位に就いている。そんな名門研究所が今、カネに執着する「人間の本性」剥き出しのスキャンダルに見舞われている。

「うちの一部の研究者が、公金である研究費の使途を問題視されている。11月から支給を打ち切られるようです」

 と、霊長研の関係者が声を潜める。

 その「一部の研究者」とは、まずは69歳の松沢哲郎元教授(現在は京大高等研究院特別教授)。チンパンジー研究の泰斗である彼は2013年に文化功労者に選ばれており、「アイ」と名付けたチンパンジーを40年以上観察し続けてきたことで名を馳せる。

 そしてもうひとりは、1964年生まれの友永雅己教授で、彼は大型類人猿や鯨類の知性を研究してきた。

 そんなふたりが「悪事」に手を染めていたことを、チンパンジーやサルは見抜けずとも、「お上」の人間は見逃さなかった。

「今年の春、3回にわたって会計検査院の職員が霊長研を調査に訪れています。松沢さんと友永さんは、都内の動物実験施設の設計施工会社に、霊長研関連の施設工事を予算より安い金額で受注させ、浮いた分の金を返さずに別の研究に回すなどといったことを繰り返していた――そう見て、会計検査院は調査を進めているようです」(同)

 この「浮いた分の金」の“原資”は研究費である。要は松沢、友永の両氏は「研究費のロンダリング」を行っていたというわけだ。事実ならば、公金の不正利用である。

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