悩み深き「稲葉監督」 一流選手は辞退、収益も低迷…侍ジャパンの“お寒い現状”

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 野球日本代表「侍ジャパン」に暗雲がたちこめている。

「侍ジャパンの興行権をNPBが手放すんじゃないか、という話が出ています。こんな状況の中で、(11月2日から開催中の)「プレミア12」が盛り上がるとは思えない」(侍ジャパン担当記者)

 関係者、ファン共に無視できない話が出始めている。原因は、「侍ジャパンはビジネスとして成り立たない」というから穏やかではない。侍ジャパンにいったい何が起きているのか。

 オリンピックの日本選手団、サッカー代表「サムライブルー」、ラグビーW杯で躍進を果たした「ブレイブ・ブロッサムズ」をはじめ、日の丸を背負う「日本代表」は、どの競技でも盛り上がりをみせている。野球日本代表は長い間、アマチュア球界主導で招集されていたが、1999年のシドニー五輪予選で初めて「プロアマ混成チーム」を結成。2004年のアテネ五輪には、メジャーリーガーを除く“オールプロ”で臨んだ。その後、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)など、メジャーリーガーを含む日本最強チームで世界に挑むようになった。

 そのような紆余曲折の流れのなか、12年の「代表常設化」からNPB主導で侍ジャパンを利用したビジネスが展開されている。侍ジャパンが対外試合を行えば、チケットやグッズは売れて、テレビ視聴率は高い数字をキープしていた。これまでオールスターや日本シリーズしか大きな収入源がなかったNPB側に莫大な収益をもたらしていた。

 しかし、ここへ来て風向きが大きく変わっている。冒頭で触れたように、NPB側は保持していた侍ジャパンの権利を手放すかもしれない、というのだ。NPB関係者は、頭の痛い現状についてこう話す。

「日本代表と言ってもトップ選手が出られない。日本人のメジャーリーガーは、所属球団の出場許可がまず出ない。また、選出されてもシーズンを考慮して辞退する選手が少なくない。実は、下交渉時の出場打診段階で辞退する選手がかなり多いのです。その結果、『最強の日本代表』を結成することができません」

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