悩み深き「稲葉監督」 一流選手は辞退、収益も低迷…侍ジャパンの“お寒い現状”

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グッズ頼りにも限界

 選手を揃えることができない状況が、侍ジャパンの“方向性”を変えつつある。前出の侍ジャパン担当記者が解説する。

「トップ選手を集めることができないから、チケットが売れない。さらに、テレビ放映権料も下がってしまうし、スポンサーも集まりにくい。苦肉の策として、興行優先の試合を多数組んで、そのたびに代表選手を入れ替える。そうすることで、選手名入りのユニフォームをはじめグッズの売り上げに頼る『ビジネススキーム』に変わってしまった。だが、それも限界に近づいている。当初の盛り上がりが嘘のように、最近の侍ジャパンは収益が右肩下がりになってきている」

 他競技に目を向けると、ほぼすべての国際大会に各国トップレベルが集結する。バレーボールは、4年という五輪周期間の毎年、大きな大会が開催される。国内で開催すれば、ほとんどの会場が満員になる。なぜなら、世界トップクラスのバレーボーラーを日本にいながらにして、そのプレーを生で見られるからだ。かたや、野球界に目を向けると、侍ジャパンに選出されても、一流選手の出場辞退が続出して、野球ファンの中にはしらけムードも漂っている。

「プレミア12は、WBCの収益がほとんどMLBに取られてしまうことへの対抗手段で作られたと言える大会です。そのため、当然ですがMLBの協力は望めないので、マイナーリーガークラスの選手しか集まらない。侍ジャパンの選出メンバーもまた、一流の選手を集めたとは言い難く、話題にも上がらない」(前出の侍ジャパン担当記者)

 来年は東京五輪が開かれ、野球界が一丸となり金メダルを狙う必要があるのに……侍ジャパンの行く末が大いに気がかりだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年11月5日掲載

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