女性ヘルパーに睡眠薬でわいせつ行為…事故で「寝たきり障害者」になった犯人のやるせない事情

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 ほら、健康ドリンクだよ。そう告げられた女性たちは、疑いもせず目の前の液体を飲み干したという。直後に襲ってきたのは激しい睡魔。その果てに起きたこととは……。飲み物を準備した人物は、かつて仕事中に負傷して体の自由が利かない、不幸な身の上の男だった。

 彼女は睡眠薬を盛られたんじゃないか――。大阪府警の捜査員が疑念を持ったのは、今年7月に起きた交通事故に関してだった。

 府警担当記者の話。

「貝塚市内の団地に暮らす木原洋一(33)=仮名=宅を訪れた20代の女性が、帰宅しようと車を運転中に眠気に襲われ、民家の外壁に激突したのです。急に眠たくなったことを不審に思った女性の申告で府警が尿検査したところ、睡眠導入剤が検出されていました」

 木原は後述するように身体に障害を負っており、女性は介護ヘルパーとして家を訪れていたのだった。

「府警が内偵を始めようとしていた矢先の8月、次なる事件が起きました。木原宅を訪ねた28歳の知人女性が酒を飲んだ後、昏睡状態に陥ったのです。出入りしていた別のヘルパーが女性を発見し、勤務先の会社を通じて警察に通報。駆けつけた捜査員に、木原は“犯行”を認めました」(同)

 木原はもともと鳶(とび)職だった。ところが今から5年前、仕事中に転落事故に遭って頚椎を損傷、体の首から下が自由にならない障害を負う。食事も排泄も一人ではできず、24時間ヘルパーに頼る生活を送りながら犯行に及んでいたのである。

 その手口は“特製の健康ドリンク”を使ったもので、

「何らかの手段を使ってネットで健康ドリンクを取り寄せ、一方で睡眠導入剤の処方も受ける。その二つを用意したうえで、好みの女性ヘルパーが来訪した際、“これはセット。混ぜて飲んでみて”と勧めるのです。相手は20代の美人ばかり。何人もが件(くだん)のドリンクを飲まされて4名が昏睡。8月の事件では知人女性に特製カクテルと偽って“グレープフルーツ味だからちょっと苦いよ”などと安心させて飲ませていた。彼女は病院で2日間も昏睡状態が続き、いまも通院生活を強いられています」(同)

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