朝日新聞が「出前館」と組んで「デリバリービジネス」進出したものの惨敗した原因

ビジネス 週刊新潮 2019年10月31日号掲載

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「出前」と言えば岡持ちを載せて疾走する原付バイクをイメージしがちだが、最近は「デリバリー」なんて呼んだりもする。実際、ソフトバンクが出資するウーバーイーツや楽天も進出するなど、いま注目のビジネスなのだ。

 朝日新聞が「夢の街創造委員会」と業務・資本提携を結んだのは2016年12月のこと。名前こそ「委員会」だが、ジャスダックの上場企業である。

「同社は出前を仲介する『出前館』を運営する会社です。一般に飲食店は出前の際、チラシの作成・配布や集金も行わなくてはなりません。『出前館』はそれらを代行し、手数料を取る。このビジネスが受けてドミノ・ピザやピザハットなど、大手チェーンも出前館を使うようになりました。また、最近では、アルバイトを雇い、配達員のいない店の出前注文を受けるサービスにも乗り出しています」(証券会社の幹部)

 というわけで、「夢の街」社の売り上げは06年の上場から10倍に成長(約66億円)する。それに目を付けたのが、新聞販売店「ASA」の立て直しに頭を悩ませる朝日新聞だった。

 朝日の関係者が言う。

「不振の本業を補うために朝日は、これまで新規事業に50億円近くを投じてきました。しかし、ITベンチャーへの投資で失敗し8億円もの減損を迫られるなど、決してうまくいっていない。一方で“出前”は、既存のバイクや、エリアの地理に詳しい配達員をそのまま使える。食べ物のテイクアウトが軽減税率の対象になることも大きかった」

「夢の街」社としても、人手不足のおり、少しでも配達員を増やしたい。そこで、両社は手を組んだ。朝日の出資額は約15億円。流行りのビジネスに進出したことで、大きな投資リターンも期待できるはず、だった……。

 ところが、10月10日に明らかになった同社の通期決算は、意外にも営業赤字。さらに来期の見込みも9割の減益である(約15億円の赤字)。「夢の街」という社名が仇になったか、株価も発表翌日には20%以上暴落して夢と消えたのである。

 原因はどこにあるのか。

「デリバリーは急成長している一方で競争も激化しています。『ウーバーイーツ』などのライバルにシェアを食われたことが大きかった」(前出の証券会社幹部)

 出資の見直しなどについて、朝日に聞くと、

「回答は控えさせて頂きます」(広報部)

 ニュースをホットなうちに届けるのが新聞社。食べ物だって同じように――とはいかなかったのか。