老後2千万円不足問題の最適解 50歳から「ダウ平均」に投資するメリット

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銀行預金だと7020円、ETFなら1600万円

 それでは、具体的にどのような投資を行えばいいのだろうか。

「基本的にはダウ平均に連動し、且つ普通の株のようにリアルタイムで売買できる上場投資信託(ETF)を買うことです。おすすめは『スパイダー(SPDR)ダウ工業株平均ETF』(証券コード「DIA」)で、ニューヨーク証券取引所に上場しています。マネックス証券、楽天証券などのネット証券を使えば、それほど購入手数料もかかりません。1株あたり3万円ほどで、毎月分配金もあります」

 このスパイダーを利用し、ダウ平均に投資すれば50歳からでも月3万円の投資で、2千万円を貯められる可能性があるという。

「過去10年間のダウ平均年率利回りは11.2%です。この成長が今後20年続けば、50歳から月3万円ずつ、65歳までの15年間投資し、リタイア後は70歳まで株を放置しておくだけで2千万円以上(実際は利益に20.315%の税金がかかる)が貯まる計算になります」

 15年間の投資金額は540万円。銀行に預けても、金利は0.01%なので利子は7020円、20年間でも合計540万7020円にしかならない。

 過去20年間のダウ平均年率利回りは、インターネットバブルの株高が起点となり下がっているが、それでも5.3%、30年間で見れば8.7%だ。つまり歴史的に見れば、どの時期からはじめても、数年間ダウ平均に投資していれば、かなりのプラスになったことになる。非課税メリットの大きい「iDeCo」や「つみたてNISA」を活用し、ダウ平均に連動する投資信託を買うのも手だという。

 最後に岩崎氏に、これから投資をはじめる人に向けてのアドバイスを聞いた。

「一度に大金を投資するのはおすすめしません。退職金を金融機関に言われるがままにポンと投資し、リーマンショック級の危機が訪れる可能性もあります。そうなると、大損するだけではなく、損を取り戻そうとFXや仮想通貨などの“投機”に走ってしまう人もいるでしょう。時間を分散させ、コツコツとダウ平均に投資すれば、自然と世界経済に詳しくなっていきます。少しずつ投資しながら、金融リテラシーを一緒に育むのが良いでしょう」

 投資は必ずしも順風満帆というわけにはいかない。だが学び続ければ、多少の荒波にも動じずに対応できるようにもなるというものだ。

取材・文/奥田荘(清談社)

週刊新潮WEB取材班編集

2019年10月19日掲載

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