声優のアイドル化で“養成学校”も劇的変化 裏方コースも人気の最新事情

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 もともと、声優は自身の姿を世間に見せず、名前と声のみが知られる職業だった。だが、それは昔の話。今では“アイドル”のごとく、CDや写真集を発売し、どんどん活躍の幅を広げている。声以外のスキルも要求されるようになってきている昨今、声優を育成する「専門学校」にも変化が見られるという。『90分でわかるアニメ・声優業界』(青弓社)の著者で、アニメやデザイン関係の専門学校で数多く教鞭を執ってきた落合真司氏に現状を聞いた。

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 まずは声優の歴史について振り返っておこう。声優のマルチな活動が始まったのは、1970年代後半のこと。この頃から古谷徹、三ツ矢雄二ら人気男性声優が「スラップスティック」というバンドを結成してテレビ番組に出演し、声優の表舞台への進出が始まった。

 声優という職業が、アニメファンや声優ファン以外にも知られるようになったのは、95年に「新世紀エヴァンゲリオン」のアニメが放送されたことがきっかけだという。

「『エヴァ』が凄まじい人気を獲得し社会現象になると、ヒロインや主人公の声を担当した、林原めぐみ、緒方恵美などが数々のメディアに取り上げられるようになりました。『エヴァ』をきっかけに、キャラクターありきだった声優が、個人としても世間に広く知られるようになったのです」(落合氏、以下同)

 声優個人の人気が高まることは、出演している作品にとってもプラスだ。制作サイドはアニメをヒットさせるために、声優を数々のプロモーション活動に起用するようになったという。

「アニメ会社は、作品のPRとしてイベントを開催するのですが、その際に声優たちは、トークショーを行ったり、歌やダンス、生アフレコを披露したりする。また宣伝のためにメディアに登場するときには、モデルのようなポージングを求められるようになりました」

 歌や踊りもこなせれば、声優以外の活動の幅が広がっていく。また「歌手」や「タレント」という肩書も加わればメディアに登場する機会も増え、アニメを視聴しない人もファンになってもらえるのだ。それは志望者にとっても同じで、

「今の若い世代の人々にとって声優は、『顔の見えない声のプロ』ではなく、テレビで見かけるアイドルやミュージシャンのような『カリスマ的存在』になっています。昨今の声優志望者には、アニメや映画といった本来の声優の仕事を通じてではなく、アイドル的な方面から業界に触れ、この道を志す人が多くいるようです」

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