小泉進次郎には父・純一郎のような「狂気に近い信念」がない

政治 週刊新潮 2019年10月10日号掲載

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「微動だにしない」

 01年の総裁選で純一郎氏を支持した渡辺喜美参院議員は親子の決定的な違いをこう語る。

「親父さん(純一郎氏)は優先順位も何も考えずに、郵政民営化だけをやってきた人。令和に改元する前、宮中の茶会に行ったら、親父さんがいましてね、長時間立ち話したんですよ。すると今度は、脱原発の話ばっかり。最初から最後まで、徹頭徹尾です。相変わらず、狂気に近い信念を持った方なんです。それが息子には感じられないですよね」

 05年の「郵政選挙」の時には法案に反対した議員に刺客を立てた。中には飲み仲間で親しかった綿貫民輔元衆院議長なども含まれた。尊敬する歴史上の人物は織田信長。「泣いて馬謖(ばしょく)を斬る」と言えば聞こえは良いけども、その言動は信長を彷彿とさせる「狂気」そのものだった。

 一端を知るのが、進次郎氏の前任、原田前環境大臣だ。中選挙区時代、純一郎氏と同じ神奈川の選挙区で戦い、厚生大臣時代には政務次官として仕えた。当の原田氏が述懐する。

「純一郎さんは地元の郵便局関係の会合に一緒に出ても公然と民営化を主張していました。“20万人の全逓信労働組合よりも1億2千万人の国民の方が大事だ”と、こちらが震えるようなとんでもないことを言う。票になる人が目の前にいるのに、微動だにしないのです。また、郵政選挙で刺客を送ったことでどれだけの人の人生が変わったのか。並の政治家ができることではありません」

 一方の進次郎氏はどうか。先の渡辺氏が後を受ける。

「(過去に)提唱した『こども保険』は財務省OBの若手議員の振り付けです。そういうものを簡単に受け入れてしまうあたりに彼の信念のなさが現れています」

 原発政策についても純一郎氏は原発即時ゼロを唱えるが、進次郎氏は会見で、

「どうやったら(原発を)なくせるか、考えたい」

 そう言って「脱原発」を匂わせるのみ。

「国連での記者会見で、火力発電をどうやって減らすか聞かれて6秒も沈黙してしまった。再生エネルギーを増やす、とでも答えればいいのに、尊敬する親父のことがふと頭をよぎったのではないですか」(渡辺氏)

 威勢の良さが売りのはずなのに、空を切る進次郎氏の言葉。風船がしぼむがごとく、期待値も急落しかねないのだ。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。

「純一郎さんは総理時代、イラク派兵で、“どこが戦闘地域か、聞かれてもわからない”と言い切るなど、ひどい発言も多い人でした。しかし、内容の是非はともかく思い切りは良かった。父親に比べると、進次郎さんは何事も中途半端です。大臣になったのだから、選挙演説のようなウケを狙った発言をまずやめるべきでしょう」

 精神科医の片田珠美氏は、

「子は“偉大な”父を持つと、その父を超えられるか葛藤します。周りからは常に比べられるゆえ、子である進次郎さんは大衆にどう受け止められるか、ということばかり気にしているように見受けられます」

 人に嫌われたくない、という思いが前面に出てしまって、進次郎氏の顔つきには父譲りの“覚悟”がないようにも見える。“クール”で“セクシー”だとしても、“変人”だった父と同じ宰相への道を歩むには、甚だ心許ない。その最初の試金石が今回の臨時国会である。

特集「メッキの剥がれ方が凄すぎる 国会空転のキーマンは『小泉進次郎』」より

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