小泉進次郎には父・純一郎のような「狂気に近い信念」がない

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 小泉進次郎氏を見て思う。弁舌爽やか、眉目秀麗。だが「外身(そとみ)」を剥けども剥(む)けども、彼の「中身」に辿り着けない。一体何がしたいのか。父に似た「信念」を内に宿しているのか。もしかして、空疎な日本版たまねぎ男?

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 自身へ向けられた批判の集中砲火にも“セクシー”に対応できるだろうか。

 9月に発足した安倍改造内閣の新閣僚たちが、猛烈な逆風にさらされている。中でもメッキの剥がれるスピードがさらに加速しそうなのは、今月からの臨時国会において、与野党攻防のキーマンに挙げられる小泉進次郎環境大臣(38)である。

 就任早々、話題を振りまいているのは相変わらずだ。例えば、原田義昭前環境大臣が福島第1原発の処理水について、希釈して海に放出するしかないと主張すれば、福島の皆さんを傷つけたくない、と即座に謝罪、否定。さらに、ニューヨークで開かれた国連の気候行動サミットで「環境問題にはセクシーに取り組むべき」と語り、その中身を問われ、

「説明すること自体がセクシーじゃない」

 そう煙に巻くのだった。こうした一連の言動が“意味不明瞭”“ポエム”などと揶揄され、「実は中身のない」新大臣ではないか、と批判する声が引きも切らないのである。

 進次郎氏へ取材経験のある政治部デスクが言う。

「彼は大臣就任前から都合の悪いことを聞かれると、“私的なこと”を話し出す癖がある。9月13日の会見で、処理水の質問に福島でノドグロが獲れるという話をし始めたのが良い例。これまでは、そうですか、で終わっていましたが、大臣の今はどういう意味か、聞かないといけない。そこにうまく答えられず、ボロが露見している状態です」

 来る国会で野党が手ぐすねを引いて待ち受けている。

「10月第2週には予算委員会が開かれる予定。そこで、質問攻めに遭うことは間違いないでしょう」(同)

 とはいえ、就任してわずか1カ月余り。無論、ポスト安倍の有力候補のひとりであり、直近の産経新聞の世論調査でも最も活躍を期待する閣僚としてトップの数字を誇る。過去2度の総裁選で進次郎氏の票を得た石破茂元自民党幹事長は、

「そりゃ、進次郎さんにとっても試練だろうよ。これを乗り越えてこそ立派な政治家になる」

 とエールを送るし、父・純一郎元総理の実弟の正也氏も身内だけにこう擁護するのだ。

「(兄と)同じ年齢の頃に比べれば、進次郎の方が発信力、影響力は大きい。よく頑張っているよ。大臣になりたてで国連に出席するなんて大変なことだ」

 父である純一郎氏は1988年、46歳のときに竹下登内閣で厚生大臣として初入閣した。2001年、3度目の総裁選で自民党トップの座を射止めることになるも、国民的人気を得たのは、その直前のことだった。

「当時、絶大な人気を誇っていた田中真紀子さんらの支援を受け、総裁選で圧勝。『自民党をぶっ壊す』といったワンフレーズで国民を惹きつけ、劇場型政治と評されました」(先のデスク)

 放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏は、

「アメリカでは“サウンドバイト(耳に残る一言)”と言って、30秒以内のコメントでないとテレビで扱いにくい。純一郎さんのワンフーズは、まさにテレビを意識したものでした」

 09年に政界引退後、進次郎氏が地盤を引き継いだ。

「初当選した選挙でも演説の仕草が父親そっくり、と地元で話題になっていた」(神奈川県政関係者)

 その立居振る舞いは今も父の影響を色濃く感じさせる。敬愛する父の話し方を学び、体得したと言われるが、皮肉にも、その受け継いだ話術が槍玉に挙げられているのだ。一体、純一郎氏とは何がどう違うのか。

 元通産大臣で自民党総務会長も務めた深谷隆司氏が指摘する。

「お父さんが若い頃は目立つ方ではなくてね、郵政民営化を言うようになって、頭角を現しました。強引な手法で進めたけど、その時にこんなに迫力があったのか、と。彼は世に出るまでに長い助走期間があって、官僚の使い方などを学んだのです。しかし、それが進次郎さんにはない。環境大臣になってから、通訳もつけずに話す姿を見ると、不安が的中しつつあります。逸材なのだから、大事に育ててほしいのですが」

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