MLB挑戦の筒香嘉智、“現役メジャースカウト”の評価は?来年はどれくらいの成績を残す?

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「本人の夢をかなえさせてやりたい」

 DeNAの主砲、筒香嘉智の“メジャー挑戦”にゴーサインが出された。

 阪神とのクライマックスシリーズ(CS)1stステージ敗退後、DeNA・三原一晃球団代表が明らかにしたことで、今オフにポスティングシステムを利用したメジャー挑戦が確実になった。NPB通算10年で205本塁打、長打率.528のスラッガー。今季は一時期、故障に悩まされながらも、131試合出場、29本塁打、79打点、打率.272を記録。来年11月に28歳を迎えるという脂が乗った時期での大舞台への挑戦となる。

 振り返ってみると、過去、メジャーに挑戦した日本人野手で十二分な成績を残したのは、イチローと松井秀喜の2人と言って過言ではない。

「数字がNPB時代より下がるのはしょうがない。松井秀喜のヤンキース初年度もかなり下がった。技術や用具の進歩があり、日米の差は縮ってはいるものの、適応しなくてはならない部分も多い。メジャー側も1年目に関しては、そこも理解したうえで獲得に動いている。まあ、イチローの1年目の成績は、比較対象外ですよ」

 そう語ってくれたのは、フィラデルフィア・フィリーズの環太平洋担当部長を務める大慈彌功氏だ。

 松井は巨人在籍最終年だった2002年。50本塁打、打率.334、107打点で、本塁打と打点の二冠王に輝いた。翌年、ヤンキースに移籍。その初年度は16本塁打、打率.287、106打点と得点機に確実に仕事をしていたものの、NPB時代よりも大きく数字を落とした。その他の日本人野手もまた、メジャー1年目の成績は下降している。1年目から首位打者や最多安打、盗塁のタイトルを獲得したイチローは例外として、過去の例をみると、筒香の成績は現状より下回ることが予想される。

 では、大慈彌氏は筒香をどう評価しているかを、聞いてみた。

「筒香の打撃は魅力がある。NPBでトップクラスの長打力がメジャーで通用するか、期待をしている。しかしそれも球団によって変わる。常勝チームならば、自分を犠牲に勝利のための打撃が求められる。それが松井のように1年目からの打点の多さにもつながった。筒香の場合、ポスティングシステムを使った移籍なので、自ら球団を選べない。勝利を強く求めない球団であるならば、自らの打撃ができるので、成績もあまり下がらないのではないか」

 一方、守備についてはどう見ているのか。

「足はそこまで遅くないので十分やれる。守備の評価は高い。もともと内野手だったので、グラブさばきは柔らかい。内野は一塁ができるし、今年も何度か三塁を守っている。外野に関しては、センターは厳しいけど、レストとライトならできる。また、DHがあるア・リーグならば打力を生かして、出番が増えるのではないか」(前出の大慈彌氏)

 メジャー挑戦が現実味を帯びてから、守備と足の不安が報道されている。しかし、メジャーサイドからすると、そこまで不安視していないことがわかる。

「十分に戦力としてできる選手。強いて言うなら少しウエイトが重いかなと……。今年はメジャー移籍を意識しているせいか、身体を大きくしている。体のキレが悪くなるし、ヒザへの負担もかかる。すこしウエイトを落とした方が良いとは感じる」(同)

 若干の心配がある中で、筒香のメジャーリーグ1年目の成績を予想してもらった。

「打率.270、15~20本塁打くらい打てれば、合格点では。厳しめな評価にみえますが、逆を言えば最低限、クリアして欲しい成績。この数字を残すということは、年間を通じて試合に出続けるということが前提で、それができると見ている。どのチームに入ってもこれまで同様、貢献すると思います」(同)

 果たして筒香はどのチームに行き、どこまで活躍してくれるのか。期待は高まるばかりだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月12日掲載

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