「時効警察」が復活に12年もかかったワケ 新シリーズの見所を制作責任者が全部語る

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出演陣も復活を望んだ

――「時効警察」は、すでに時効が成立した事件を、改めて捜査する警察ドラマだ。もっとも、総武警察署・時効管理課の霧山(オダギリ)と交通課の三日月(麻生)コンビは、あくまで“趣味”として事件を追う。犯人にたどり着いたところで、“この件は誰にも言いません。”と書いたカードを手渡して一件落着となる。謎解きはもちろんだが、そこにたどり着くまでに連発されるパロディーなどの小ネタ、背景に映り込むシャレの効いた小道具がドラマ好きにウケた。今回のスペシャル版でも、その味は存分に発揮され、SNSにも〈時効警察あいかわらずでなによりでした〉、〈放送時間の7割無駄な展開で占められてるところにキュンとしちゃう〉といった満足の声が多かった。出演陣の見た目も雰囲気も変わらないことに驚いた声も少なくなかった。

横地:そうですか。そう思ってもらえるのは嬉しいです。今回、初日は、時効管理課のセットでのリハーサルでした。三木さんはリハーサルでも実際の衣装を着て行うのですが、リハをやってみると最初はちょっと違和感がありました。さすがに、12年も経つと、かつてのキャラクターと少しずれている方もいました。でも三木さんの演出を受けて、2、3回演じているうちに、皆さんすぐ元に戻りましたね。

――なぜ復活に12年も経ってしまったのか。

横地:実は、これまでも復活の話はありました。テレ朝開局55周年の時にもトライはしましたが、うまくいきませんでした。今年はちょうど開局60周年で、それに合わせて再チャレンジしてみようと。今回、調整を始めたのは約2年前。オダギリさん、麻生さん、三木さんも復活には賛成してくれて、皆さんそれぞれが、「みんなが揃うのであれば」と。ちょうどこの時期ならスケジュールも合い、ようやく実現できたんです。

――そもそも、オダギリが映画で組んだ三木監督と連ドラを作りたい、ということでスタートしたドラマと聞く。

横地:そうですね。それで三木さんと企画を作り始めたのが2004年から2005年くらいです。何か新しいミステリードラマができないかと、いろんな案を話す中、時効前ギリギリに解決するドラマはあっても、時効後に捜査するドラマはないよなあ、といった話から始まったんです。いまではコメディエンヌとしても評価が高い麻生さんは、当時は連ドラもコメディーもやったことがありませんでした。確かオダギリさんが、「麻生さんがいいのでは」と言い出した。当時、透明感ある映画女優というイメージがありましたが、実際にお会いしてみると、意外にもくだけたキャラで、明るい。三日月のキャラクターには麻生さんの素顔が少し反映されています。

――ナレーションが歌手の由紀さおり(70)というのも意外だった。

横地:三木さんが書いたオープニングナレーションが「よろしくお願いします」で終わっていることもあり、三木さんから「女性で丁寧な口調で話せる人」という希望で、由紀さんに。今回ももちろん、担当していただいています。由紀さんもこのドラマに愛着があり楽しみにされていたようでした。今回は、SNS(Twitter)で「時報警察」という遊びもやってるんですが、そのナレーションもやっていただきました。出演者の皆さん、このドラマを愛してくださっているようで、二つ返事で受けていただきました。サネイエを演じる江口のりこさん(39)も、まだ復活が本決まりでない頃、たまたま会った際、「やるかもよ」と言ったら、「ホンマですか!」って嬉しそうでした。

――だが、復活にはハードルもあった。現実社会では、2010年の刑事訴訟法改正により重大事件の時効が廃止されたからだ。

横地:そうなんです。でも「時効警察」ですから、時効になっていない事件を扱うわけにはいかない。以前は時効になった直後の事件を捜査したのですが、今回は時効の廃止以前に時効になった古い事件を扱うということにしました。

――総武署の廊下として使用されていた、築地市場の水産物部事務棟も取り壊された。

横地:そうなんです。ま、総武署は改装したということで……。

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