「田舎暮らし」希望者に移住アドバイザーが伝授 絶対損しない不動産の探し方

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悪徳業者に騙されない12の鉄則(2/2)

 田舎暮らしがブームと言われて久しい。「仕事をリタイヤしたら、住みにくい都会を離れ、自然の豊かな別荘地で余生を過ごすのだ」と決心している方もおられるだろう。

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 だが、そうしたブームにつけ込み、本来は移住用に向かない土地や物件を売りさばこうとする、悪徳業者がいるのは事実だ。たとえ物件自体には問題がなくとも、買い手が別荘購入の経験に乏しいことから、相場の倍をふっかけることも珍しくない。

 そこで悪徳業者に騙されないための「12の鉄則」を作成してみた。鉄則の【1】から【6】は《「田舎暮らし」希望者は必読 悪徳不動産業者に騙されないための“鉄則”》の記事に掲載している。この原稿では【7】から【12】の鉄則をご紹介したいと思う。

【鉄則7】リノベ物件は安普請に厚化粧を施していると思え

 最近、かなり古くなった中古物件を全面リフォームして、リノベーション物件として売り出すケースがある。

 だが、リノベ物件は、実のところ安くはない。売る側としては、新築並みの設備に更新して売り出すからだ。

 地方でのリノベ物件は、住宅躯体(骨組)にはさわらず、内装と設備だけを取り替えたものも多い。だがリノベ物件で最も肝心なのは、躯体でも痛みが入っている部分にまできちんと手をつけているかどうか、である。

 実態は、壁紙などの内装やボイラーや水道周りなどの給排水設備だけを取り替えているリノベ物件がほとんどだ。本来であれば、壁の内側や基礎、断熱材の入れ替えなど、見えない場所の改善が行われて、はじめて“真っ当なリノベ物件”と捉えるべきだろう。

 もちろん、価格次第で妥協できる場合もある。だが、老朽化が生む不具合は、重要なトラブルを引き起こしてしまうこともある。不動産業者と内覧した場合は、単に「きれいになってますね」と感想を述べるだけでなく、リノベしたとする箇所の図面や項目をきちんと書き出させたほうがよい。

 可視化して互いに確認することで、不動産業者側も納得できる値引きにつながる。「ああ、綺麗でよさげ」というアバウトな感覚は、手痛いしっぺがえしにつながると肝に銘じるべきだろう。

【鉄則8】床下・棟下への点検口は、絶対確認・絶対設置

 基礎につながる床下の点検口が存在しない物件には、気をつけたほうがいい。とりわけ別荘として利用されていた物件には、点検口がないことが多い。

 もちろん、基礎には通気口の格子などがついているので、点検口がなくとも躯体そのものに差し支えはない。しかし、ひとたび水道管の凍結や漏水が起きているとなれば、躯体下部を覗く点検口が必要になる。

 手抜き工事とまでは言わないが、バブル期に突貫工事で建てられた別荘家屋には、この点検口がついていない物件が意外に多い。

 別荘利用など、利用期間が限られている場合は、そこまでの必要性を感じないので、建築後も点検口をつけないまま利用され、売りに出されていることがほとんどだ。

 1階部分のどこかに点検口があるのかどうかだけは確認し、場合によっては入居、購入前に点検口を開けてもらったほうがいい。

 都会の住宅であっても、ひと昔前までは、点検口があるのが当たり前だったが、最近のブランド建築などの、いわゆるプレハブ住宅やパネル住宅では、基礎や配管に通じる点検口などがないものが多い。

 さらに、マンション生活が長い方には、点検口という発想とは無縁である。物件探しでは、最初に点検口の有無を確認するくらいの気持ちでいたほうがいい。住めば必ず必要になるのが点検口だからだ。なければ設置させるか、値引きさせたほうがいい。

【鉄則9】風呂のボイラーは灯油方式が経済的

 都会で都市ガスに慣れてしまっていると、ガス料金をあまり意識したことがないかもしれない。都市ガスは安いからだ。

 しかし、少し郊外であれば、いまだに宅配のLPガスを利用しているところが少なくない。このLPガスは都市ガスに較べて極めて割高であり、同時に、値引き交渉も容易ではない。コンロや調理器具がLPガスであるのは致し方ないとしても、風呂の燃料がLPだと、これは高くつく。

 冬場は、お湯を沸かす消費カロリーも高くなるので、高地、寒冷地ほど、LPガスの消費量も増える。さらに地方では、追い炊き機能のない掛け流しの風呂も多い。こうした時、風呂釜がLPガス仕様だと、台所の調理分と合わせて、それこそべらぼうな額が請求されることもある。

 その点、灯油ボイラーのほうがマシである。生活のライフラインがLPか灯油かは、日々の生活で最も懐具合にさわってくる決定的なもののひとつである。

 ちなみにガス代ばかりではなく、公共下水道につながっていない別荘地では、くみ取り費用にもお金がかかり、浄化槽であっても年に数回の点検費用はばかにならない。

 田舎暮らしとは、ガス代や上下水道代など、ライフラインの出費がかさむ。都市のほうがお金はかからない生活だということを実感する瞬間が必ず来る、ということは言い添えておきたい。

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