サニブラウン「世界陸上準決勝敗退」でも東京五輪決勝進出に現実味

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「全然、音が聞こえなかった。“鳴ったかな”と考えてしまうぐらい」

 ドーハで行われた世界陸上の男子100メートル準決勝で5着に沈んだサニブラウン・ハキーム(20)の敗戦の弁だ。“音”とはもちろんピストル音のことである。

 このレース、サニブラウンは大外の9レーンを走った。音が聞こえなかったのは、ピストルを撃つ人から一番遠かったからだろうか。

「いやいや、今はピストルなんて使ってませんよ」

 とスポーツ紙陸上担当記者が首を振る。

 実は、大きな大会では20年以上前から電子式のスターター装置が使われている。簡単に説明すると、各選手が足を置く器具にスピーカーが装着されており、同時に音が鳴る仕組みになっている。スターターがピストルのようなものを掲げることがあるが、あれはピストル型のスイッチで、そこから音は出ないのだ。ごくわずかの差とはいえ、音が伝わる時間差でレーンの有利不利が生じないようになっている。

 したがって、もしそのスピーカーが故障していたとしたら、サニブラウンが主張するように“音が聞こえなかった”という事態が起こりうるかもしれない。だが、次の組の9レーンの選手は遅滞なくスタートを切っていたことからして、それは考えにくい。どうやら彼の勘違いということのようである。

 日本人87年ぶりとなる100メートル決勝進出の夢は霧散したが、

「内容を見ると、同じく準決勝敗退の桐生祥秀(23)や小池祐貴(24)とは異次元の走りでした。スタートで大きく出遅れたにもかかわらず、決勝進出ラインの2着とは0・03秒、距離にして30センチ差まで追い上げた。東京五輪での決勝進出も現実味を帯びてきましたよ」(先の記者)

 転んでもタダでは起きるなサニブラウン。

週刊新潮 2019年10月10日号掲載

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