舘ひろし激白! 生き方はすべてラグビーで学んだ 「オールブラックス」に挑む「日本代表」茨の道

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宗教、哲学、経済、政治

 仮の、そして期待を込めた言い方になるが、日本がプール戦を突破したら、準々決勝で対戦するのはニュージーランド、通称オールブラックスの可能性が極めて高い。

「オールブラックスは直近まで約10年、509週に亘って世界ランク1位を守り続けたし、僕が高校でラグビーをやり始めた時すでに世界最強だった。日本は胸を借りるつもりで……」

 日本のトップ8進出は嬉しいけれど相手が悪すぎるよ……そんな表情で、「オールブラックスとは何か」について続ける。

「『ラグビー=国』というのはニュージーランドくらいのものでしょう。人口500万弱で世界一ですよ。ニュージーランドにとってラグビーは宗教であり、哲学であり、経済、政治でもある。先日、テレビの企画でニュージーランドまで出かけてラグビーに関する取材を重ね、その中で先住民の伝統舞踊である『ハカ』も踊りました。宗教ですからもちろん真剣にやりましたよ、リスペクトを込めて……。で、そのハカをオールブラックスがキャンプを張る千葉・柏市の子供たちが出迎えのためにやったんですよ。その動画の再生回数がぐんぐん伸びていて、素晴らしいことだと思いました。ラグビー人口が増えてくれば日本のラグビーはもっと変わってくるんだろうと思いますから」

 オールブラックスはホームページで過去の戦績を開示しており、それは453勝112敗21分、勝率77・30%。サッカーのブラジル代表も凌ぐ数字だ。

 国を代表する彼らは、それだけで名誉なことではあるけれど、鍛錬を怠ればレギュラーの座を追われ、代表から外される。メンバーであり続けるために鍛錬を続けなければならないという意味で常に謙虚な者たちだ。

 21日には予選屈指の好カードである南ア戦に23対13で勝利。舘が試合直前に「今日のニュージーランドは行きますよ」と話していた通りの結果になった。

「オールブラックスはスロースターターだと思ったんですが、解説の方から“色々と情報収集をしていた時間だ”と聞いて腑に落ちました。選手間でこれでもかというほど積極的にコミュニケーションを取っているのは、他のチームではなかなか見られない点です」

 その一方で試合前には、

「一番面白いところは、南ア戦をさばいたフランス人のレフェリー。彼はアンチ・オールブラックスで、ここ数年の間にノーバインド(相手を掴もうとしない肩だけの)タックルで2度も一発レッドカードを出している。僕にしてみれば、一発で退場するには相当しないと思いましたけれどね。元オールブラックスで日本代表の監督も務めたジョン・カーワンとは親しくて、そのことに触れると、“あの判定は馬鹿げてる”と憤っていましたよ」

 とも口にしていた。そのレフェリーは一発退場のレッドカードも、そして10分間の一時退場を命じるイエローカードも出すことはなかった。試合中に求められる規律を厳しく守った証左でもある。

 では、この圧倒的な黒衣の集団が優勝杯のウェブ・エリス・カップを掌中に収めるかというと、必ずしもそうではないらしい。

「第1回のW杯で優勝してから第2~6回は優勝できず、第7、8回と連覇したとはいえギリギリだもんね。W杯って他のテストマッチ(代表戦)と違って特別。負けてもいいとかなくて優勝しないといけない。そうなった時にニュージーランドはどうかな。基本的なプレーを確実に重ねるチームが勝ち上がるのがW杯なんだけど、彼らは曲芸とは言わないまでも創造的なプレーを好んでしていく。過去、それが命取りになってきたと思う」

 引き分けすら負けにカウントするほど勝利至上主義のチームにとって、“負けたら後がない”ノックアウトステージの重圧は想像を絶するものだ。

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