舘ひろし激白! 生き方はすべてラグビーで学んだ 「オールブラックス」に挑む「日本代表」茨の道

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 俳優・舘ひろしは高校でラグビーに出合ってから、生き方はすべてラグビーで学んだという。第9回のW杯が日本で開かれているこの機に、人の痛みを知ることの意味を説く。準々決勝に進み、日本代表がオールブラックスに挑むまでに立ちはだかる茨の道とは――。

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「僕はラグビーをやっていたから痛さに対して割と抵抗力があります。アクションシーンで“転んだり跳ねたりを思い切りできる”のもそのお蔭。と同時に人を慮る気持ちは、ラグビーをやっている中で生まれてきたような気がします。『ノブレス・オブリージュ』という言葉がありますね。地位や身分が高い人は、それに応じて果たすべき役割や責任があるというような意味です。僕は高校時代ですけどラグビー部のキャプテンをやって、この言葉に繋がるように、“一番辛いことこそ上の人間がやるべきだ”というのは勉強したかな」

 と話すのは、俳優・舘ひろし(69)である。彼は、愛知県立千種(ちぐさ)高の2年生時にはラグビー部でキャプテンを務め、最後尾のポジションから戦況を冷静に見つめ続けた。

「ラグビーで学んだこと」について、夏の練習の日のことを振り返る。喉がカラカラになっても、「休憩でない時には水を飲んではいけない」という教えが罷り通っている時代だった。

「練習中、やっと訪れた休憩で、バケツ一杯に粉ジュースと氷を入れて飲むんですけど、それがすごく美味しかった。で、ある時、最後に1杯分だけ残ったんですね。それを僕が“キャプテンだから俺が飲むぞ”と言った時に、先生に“それだからお前はダメなんだよ”と言われました。“他に20人いるなら、お前を除いた20人に20分の1ずつ分けろ、それがキャプテンだ”と言うんです。なるほどなぁと。ノブレス・オブリージュという精神は、ラグビー独特のものなのかなぁ。ともすればこの考え方は人種差別的で『上から目線』なのかもしれませんけど、ラグビーはサッカーみたいなお祭り騒ぎには、全くならないですね。例えば、日本が今回優勝しても、渋谷のスクランブル交差点に人々が大挙押し寄せることはないと思います。どこかのバーで騒ぐことはあったとしても。数人の心無いにわかファンたちが車をひっくり返したりということはしないと信じたいね」

「ラグビーで学んだこと」について話は尽きないが、それはまた後章で触れる。

〈4年に一度じゃない。一生に一度だ。〉

 このコピーが付けられた日本大会は、1987年に始まり9回を数えるラグビーW杯の歴史の中で、ラグビー先進国以外で初めて開かれるものだ。

 ラグビー先進国とは、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アイルランド、イングランド、ウェールズ、スコットランド、フランス……といった国々を指す。

 去る9月20日、東京・調布市にある東京スタジアムでの開幕戦。ロシアに30対10で勝利した日本代表には、かねて「ブレイブ・ブロッサムズ」、“桜の勇者”という愛称がある。「一生に一度」のひそみに倣うなら、“秋の東京に桜が咲いた”瞬間だったと言えるのかもしれない。

 高校時代、最後尾から戦況を冷静に見つめた舘の目は、世界のラグビーをずっと追いかけてきた。だから、日本テレビ系のW杯中継番組で応援団長を買って出たのも自然の流れだった。極東初のW杯への思いは無論ひとしおである。

 開幕戦の予想を「35対10で日本がロシアを下す」と公開していた舘にそのあたりを聞いてみると、

「W杯開幕前、ロシアがイタリアに15対85で負けた結果から弾きだしたものです。イタリアは世界ランク14位(日本は9位、以下すべて順位は9月23日現在)で、この試合は国別対抗戦とはいえそこまでタイトなものじゃなかった。W杯本番になればロシアは失点をぐっと抑えるだろうと。日本の方はミスして一つはトライなどを取られると失点を読んだんです。ウィング・松島幸太朗の34分のトライが無効と判断されましたが、それも入れると丁度35点になりますね」

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