千葉「台風15号」被災者にソープランドが無料開放されていた

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 台風15号は、千葉県を中心に大きな爪痕を残した。復旧のため全国各地から救援物資が届き、ボランティアも駆け付けているが、全国紙やテレビが報じない支援者が地元千葉市内にいた。

 千葉県に台風15号が上陸したのは、9月9日未明のこと。その2日後、ネット上に“ソープランドがお風呂を無料開放している”との書き込みが散見された。千葉県下のソープランド41カ店が加盟する千葉県特殊浴場協会に尋ねると、

「一部の店が無料開放しているのは事実。非常に良いことですが、協会が指導しているのではなく、個々の加盟店の経営判断です」

 各加盟店のHPを順次見ていくと、千葉県随一の繁華街・千葉市栄町にある「千葉角海老」のトップページに“無料開放”の文字が。風俗ライターの解説では、

「角海老グループは、首都圏で31のソープランドを経営する業界最大級のチェーンです。その一方、貴金属の販売や世界王者を4人輩出したボクシングジムの運営も手掛けています」

 千葉角海老に続き、翌日にはグループの別の3カ店を含む計6カ店が後に続いた。店で働くソープ嬢によれば、

「店長は、“営業時間中の空いた部屋を被災者に利用してもらう”と言っていました。店には被災者用の真新しいバスタオルやハミガキセット、シャンプー、そしてボディソープなどを用意していましたね」

 HPを見て利用した40代会社員の男性は、感謝の言葉をこう口にした。

「私の家も停電と断水で、しばらく風呂に入れなくて困っていたんです。無料入浴開放を知って店に問い合わせると、従業員から丁寧な口調で“手ぶらでいらしてください。身分証明が必要になるかもしれないので、運転免許証などをお持ちください”と言われました」

 この男性会社員が続けて、

「店へ行くと、従業員に“お待ちしていました”と、すぐに2階の部屋へ通されて、“充電用の電源も自由に使って下さい。ごゆっくり”と。クーラーが効いている部屋は2間。ベッドが約4畳で、10畳ほどの浴場にはあの金色の椅子もありました。数日ぶりにつかった湯船は気持ちよく、本当に助かりましたよ」

 全国紙やテレビが報じるわけではなく、利用者は1日数人程度だとか。角海老グループ広報室に聞くと、

「阪神淡路大震災から、昨年の北海道地震の時にも同じことをしています。少しでも地域住民の方々の助けになればと考えてのことです。宣伝ではないので、特にコメントはありません」

 善行は目立たなくとも、必ず報われる?

週刊新潮 2019年10月3日号掲載

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