テコンドー協会ボイコット騒動「合宿自腹」「コーチは実績なし」選手が怒りの告発

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「弱化」のための合宿?

 選手たちの意見の取りまとめ役である江畑選手が続ける。

「11人いる強化スタッフのうちテコンドー経験があるのは4人だけで、コーチのふたりも日本代表としての実績に目立つものがないような人たちです。そのコーチたちは、合宿の練習中に椅子に座って寝ていたり、そのくせ『こんな練習じゃダメだ』と注文を付ける。自分たちの所属チームのコーチを呼びたいと言っても認められなかった。決して少なくない金額の自己負担を強いられる上に、指導レベルに疑問を抱かざるを得ない状態だったんです」

 確かに、これでは「強化」どころか「弱化」のための合宿と言われても仕方あるまい。

 さらに、ロジスティクス(兵站)の面でも協会は極めて杜撰だったという。

「昨年5月、ベトナムのホーチミンでアジアテコンドー選手権が行われた時のことです。翌日に試合が控えている選手がいるにも拘(かかわ)らず、強化スタッフはいつになっても何時から試合なのか教えてくれない。結局、スタッフから試合時間がメールで知らされたのは、試合当日の午前1時から2時の間のことでした」(同)

 しかも、である。

「約6時間後の午前8時に宿舎を出発しないと間に合わないスケジュールだった。その上、土地鑑のない外国なのに、移動手段も食事も全て自分たちで手配するように言われました。こうしたことが積もり積もって、今回の合宿不参加に至ったんです」(同)

 このように「選手ファースト」とは到底思えないテコンドー協会を長年率いてきたのが、金原昇会長その人である。一連の騒動を受けてJOCが協会に対する調査を始め、橋本聖子五輪担当相も、「協会が選手と向き合い、健全な運営ができる努力をしていただかないと始まらない」と述べる事態に発展している。

週刊新潮 2019年10月3日号掲載

特集「五輪暗雲でJOCも困惑! 『テコンドー協会』を牛耳る『金原会長』の正体」より

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