立川志らくとカズレーザーの明暗 朝のワイドショー初登場で2人は何を語ったか

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アフラックとのCM契約はいいの?

 なにより、志らくとTBSが罪深いのは、志らくと保険会社のアフラックがCM契約をいまだ結んでいることである。アフラックがいかに一流企業であろうが、将来、不祥事が起こる可能性は誰にも否定できない。そのとき、志らくとTBSはどうするつもりだ? 保険業界の一般的なニュースを扱う際にも志らくの立場は不適当だ。どう話そうが、公平性を疑われる。

 ジャーナリストはCMにも広告にも出ない。法律があるわけではないが、それ以前の倫理的問題だ。特定の「パトロン」を持ちながら、批評活動をするのはアンフェアなのである。志らくはジャーナリストではないが、やっていることは同じだ。

 ライバル番組「羽鳥慎一モーニングショー」の羽鳥慎一氏(48)も「とくダネ!」(フジテレビ)の小倉智昭氏(72)もCMには出ない。キャリアの長い放送人なので、常識をわきまえている。

「スッキリ」(日本テレビ)の加藤浩次(50)はCMに出ているが、これは同番組が「情報バラエティー」を自称しているせいか。ただし、やはり加藤もCMに出るべきではない。加藤のキャスターとしての評価が今一つ高まらないのは、こういった姿勢も一因であるように思う。

 一方、「とくダネ!」も9月30日放送分からリニューアルし、日替わりでスペシャルキャスターが登場することになった。火曜日はカズレーザー(35)がそれを務めることになったが、こちらは大化けを予感させる。

 頭が飛び抜けていいのは知られているとおり。埼玉県の名門・県立熊谷高から同志社大に進んだ。根っからの自由人で、大学卒業前に大手銀行に内定しながら、組織に入って働くのを嫌がり、お笑い芸人になった。

「とくダネ!」初登場の際にカズレーザーは「なんで僕なんでしょう」と言い、へらへら笑っていたものの、消費税増税を取り上げた場面ではこう鋭く指摘した。

「消費増税で一番苦しいのはお年寄り。それなのに、お年寄りに分かりにくいキャッシュレスのポイント還元はおかしい」

 関西電力の役員らが、高浜町の元助役から約3億2000万円の金品を受け取った問題で、関電側が「品物はスーツのお仕立て券やそうめん」と説明したことが紹介されると、カズレーザーは「関電の社員全員にそうめんを配ると、3億円になるんでしょう」
と、辛辣に皮肉った。

 カズレーザーは、偏見がない男として知られる。LGBTへの理解も深い。あらゆる差別を鼻で笑う。現代のワイドショー、ニュースに向いている。

 直言の男でもある。テレビ朝日「お願い!ランキング」内の人生相談で、東大生の女性が「プライドが高いので、将来まわりに合わせられるかどうか不安」と相談したところ、カズレーザーは「本当にプライドが高ければ、カメラの前で悩みを相談しないから」と即答し、女性をあ然とさせた。

 まだ35歳。ひょっとすると、カズレーザーは次代のワイドショー、ニュースを担う男なのかもしれない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
ライター、エディター。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年10月2日掲載

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