「あ、男性でしたか。失礼しました^^;」現象はなぜ起こるのか

国内 社会 2019年9月26日掲載

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援交女子高生、児童虐待の母親…その隣にいた男性は?

 今年はずっと、陰鬱な気分になる性犯罪や児童虐待事件の報道が絶えない。

 性犯罪そのものはもちろん問題だが、それに対して司法が「合意じゃなかったとは言い切れない」といった冗談のような理由で無罪にしていたり、不起訴にしていたりする。ネットでも「女から誘ったんでしょ」「自衛が足りなかったのでは?」「どっちもどっち」などという意見を探すことに、大した手間はかからない。

 父親からの虐待によって子どもが死亡した事件の報道には「母親は何をしていたんだ」と声が上がり、母親も同じく虐待被害者であり正常な判断も行動もとることができなかったと発覚すれば「いやいや、どんなになっても最後まで子どもを守るのが母親の役目だろう」「母親失格」「母親も虐待に手を貸したって自供したぞ」と、どこまでも被害者を追い詰める言説が後を絶たない。

 女子高生が援助交際の果てに出産した子どもを河原に遺棄した事件では、未成年の彼女を買った男がいるという事実をまるきり無視して、彼女をバッシングする多くの意見がSNSに溢れかえった。

 そもそも、女性を襲って乱暴した男の罪は?

 そもそも、家庭内暴君として君臨し、妻と子どもに暴行を加えた男の罪は?

 そもそも、未成年の違法行為を見咎めもせず保護することなく、金を払って「お楽しみ」に耽り、彼女を妊娠させた男の罪は?

 それらは一体、事件の被害者やそれに関わる女性たちをバッシングしているひとたちの中で、どこに行ってしまっているのだろう?

男性に忖度し、女性にセクハラや説教をする男性たち

 面白い記事を紹介したい。去年のものだが、非常に分かりやすい女性差別の一例である。

「女性の名前で仕事のメールを送ってみたら…見えない差別に気づいたある男性の話」

 仕事が遅い部下の指導に悩んでいた男性が、ひょんなことから彼女と名前を入れ替えて仕事のメールを利用するようになったところ、顧客や取引先からまったく理不尽に見くびられ蔑まれていた彼女の実態に気づいたという話だ。

 女性が自分の名前で仕事をしているだけで顧客から「信用ならない」と決めつけられ、セクハラを受け、結果として「女は仕事ができない」とレッテルを貼られる。【女性】と【仕事ができない】の間に横たわる現実を男性は知る由もなく、そしてそれを訴えられてもなかなか信じることができない。

 非常に興味深いのは、記事内で女性に感じの悪いメールを送り続けていた顧客が、メールの相手が男性だと分かった途端、コロリと態度を豹変させている点だ。

 これと同じような現象は、匿名性の高いSNS上でも頻繁に目にする。女性だと思った相手に上から目線のタメ口で話しかけて説教をしていた男性が、相手が同性だと知った瞬間に敬語を使い始め、同調する。

「男性でしたか。失礼しました^^;」というのは、男性に向けて言うには失礼なことを、女性になら堂々と言ってもいいと思っている証拠であろう。

 男性は男性に忖度し、女性にセクハラや説教をするのが当たり前、という無意識の女性差別が、社会には確実に蔓延している。

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