「小泉進次郎」に多くの疑問符 原発発言はポピュリズム、山本太郎氏に売られたケンカは

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 小説家の徳冨蘆花は、政(まつりごと)の本質をこう喝破した。

〈政治は一種の賭博、戦争、相場である〉

 ならば、今回の内閣改造という名の「賭場」で儲けたのは誰だったのか――。

〈際立ったのは、菅氏への配慮だった〉(9月12日付毎日新聞)

〈自民党内では「菅氏に近い議員が多く処遇された」(幹部)との見方が出ている〉(同日付読売新聞)

〈(安倍晋三)首相周辺によると、首相は(総裁選で)石破氏に票を投じた小泉(進次郎)氏の起用に当初は後ろ向きだったが、小泉氏と同じ神奈川県選出の菅義偉官房長官ら複数の関係者から「小泉氏本人が入閣を希望している」と伝えられると起用を決断したという〉(同日付朝日新聞)

 今月11日に行われた内閣改造の舞台裏を、各紙はこう解説してみせた。つまり、「陰の総理」と称される菅義偉官房長官(70)の存在感が、安倍総理も無視できないほど増してきているというのである。実際、

「当初、安倍総理は『ポスト安倍』候補のひとりとして認めている岸田さん(文雄・自民党政調会長)を、幹事長に“格上げ”しようとしていたんですが……」

 と、ある官邸スタッフは説明する。

「菅さんが、親しい二階さん(俊博・同党幹事長)とそれを阻止したり、森山さん(裕・同党国対委員長)の続投を二階さんと話し合って決めてしまったりと、官房長官の“暴走”が目立った。閣僚でも、菅さんを『常に闘っている方』と持ちあげている環境相の小泉さんをはじめ、菅側近として知られる菅原一秀(いっしゅう)さんと河井克行さんが、それぞれ経産相と法相に抜擢されました」

 確かに、内閣人事局を事実上仕切り、官僚人事を意のままに操る菅氏に楯突く者は霞が関では皆無となり、永田町でも「令和の会」や「向日葵(ひまわり)会」、「ガネーシャの会」といった、菅氏を囲むグループが複数発足している。これらに所属し、「菅系」と目される議員は約50人に膨らんでいるのだ。ちなみに、先に触れた菅原経産相は令和の会、河井法相は向日葵会の中心メンバーである。

 無論、安倍総理も菅氏の台頭に拱手傍観しているはずはなく、

「岸田さんを政調会長に留まらせたのをはじめ、自身に忠誠を誓っている茂木敏充さんを重要閣僚の外相に、加藤勝信さんを厚労相に起用し、安倍総理自身の手持ちのポスト安倍カードを党と内閣の要所に配置しました」(全国紙政治部デスク)

 その結果、小泉氏同様、菅氏と同じ神奈川県を地盤とし、外相から防衛相に横滑りした河野太郎氏を加えたポスト安倍争いの構図は、目下、永田町で密かにこう命名されている。

「菅進太郎vs.岸倍敏信」

 久しく「安倍一強」と言われてきたなか、こうした構図が浮かび上がってきたこと自体、この度の賭場の勝者が誰であるかを物語っていると言えよう。「vs.構図」を生み出した菅氏その人である。

 そしてもうひとりの勝者として、世間の関心を一身に集める人物をあげないわけにはいかない。言わずもがな、政界きっての人気者である小泉進次郎氏だ。

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