ZOZO前澤氏の美談に隠された“火の車” なぜ当局はインサイダー疑惑に斬り込まない?

ビジネス 企業・業界 週刊新潮 2019年9月26日号掲載

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 ZOZOの創業社長・前澤友作氏が退任を発表。会見は涙と美談に彩られていたが、隠された事実が……。それは2千億円にも上る借金で火の車だったというもの。捜査当局が斬り込もうとしないインサイダー疑惑――。

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「新しい人生をもう一度」――43歳のIT長者にそう言わせたものは何だったのか。

 ソフトバンク傘下のヤフーがZOZOの買収を発表したのは、去る9月12日のことだった。具体的には、ヤフーがTOB(株式公開買付)を実施。ZOZOの株式50・1%を約4千億円で取得することで子会社とし、創業社長の前澤友作氏は退任する。

 同日、この電撃身売りについて会見した前澤氏は、「2度の宇宙旅行と新事業」への尽きせぬ思いを語った。ZOZO社員へのメッセージを求められ、涙を浮かべながら言葉に詰まる場面もあった。2018年4月に交際が発覚した剛力彩芽(27)にも辞任の相談は一切しなかったという。会見途中に登場した孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長は、「前澤君から相談が来た。聞いたら、新しい人生をもう一度過ごしたいという話だった」などと経緯を説明している。

 そして今回の決断の時期について前澤氏は「9月に入ってからぐらい」と主張したが、そのための“環境整備”は今年5月下旬から進んでいたと言ってよいだろう。

 以下、今回の電撃身売りまでの真相と水面下の動きを綴っていくことにしよう。

 ZOZOの株価は18年7月に上場来高値4875円をつけた後、僅か半年後には1600円付近まで値を下げ、直近も2千円前後をうろちょろしていた。

 その暴落の主たる理由として、前澤氏も一部認めているが、プライベートブランド事業が大不振だったこと、顧客への一律割引の導入で服の安売りを懸念する大手ブランドの撤退を招いたこと、「つけ払い」サービスを始めたことで債権回収が遅滞したこと、が挙げられる。「ZOZOのビジネスモデルは崩壊している」とかねて指摘してきた、会計評論家の細野祐二氏はこう分析する。

「営業資産から営業負債を控除したものを正味運転資金と言います。ZOZOは元々、運転資金に余裕がある会社でした。しかし、18年3月期末に3億円の運転資金不足に陥ったのを皮切りに、19年3月期には23億円、更に同6月第1四半期には63億円まで、運転資金の不足が拡大してしまいました。資金繰りが火の車だったのは間違いないのですが、そのことは、借入金と現預金の推移によっても確認することができます」

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