「耳」と「認知症」の意外な関係…加齢性難聴、気付かなければリスク増大!

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女性の声、「か行」「さ行」が聞きづらく…

 坂田氏によれば、「25デシベル」より小さな音を聞き取れれば、聴力は正常と判断される。これは、ヒソヒソ話をする時の声の大きさだ。

 一般的に、そのようなささやき声が聞こえなくなり、騒がしい場所での会話が困難になった状態が「軽度難聴」とされる。続いて、補聴器を使用しないと日常会話で不自由を感じることが増えるのが「中等度難聴」。

 そして、ピアノの音やトラックの走行音など、両耳で70デシベル以上の音しか聞き取れない「高度難聴」になれば、身体障害者手帳の交付対象だ。

「音の大きさに加えて周波数、つまり音の高さも聞こえに影響を及ぼします。加齢性難聴には高音から徐々に聞こえなくなるという特徴があるのです」(同)

 そのため、冒頭で触れたようなインターホンや電子レンジ、さらに体温計などの電子音に気づかないことが増えるのだ。

 また、男性の声よりも女性の声は高いため、こんなトラブルも生じる。

 息子夫婦と同居する中高年男性が、息子とは会話をしているのに、その妻の声には反応しない。実際には女性の声が聞き取りづらいだけなのだが、「お義父さんは私のことだけ無視する」と受け取られてしまう。

 加えて、「加齢性難聴では、日本語のなかでも、か行、さ行、は行といった周波数の高い無声子音は聞き取りづらくなる」(同)ことも無視できない。

 例を挙げると、待ち合わせ時間として告げられた「7時」を「1時」と間違える。他に、「佐藤」と「加藤」や、「お菓子」と「お箸」、「広い」と「白い」の区別がつきづらくなることも。

 こうした問題が高齢者の生活に影を落とすことは言うまでもない。だが、ここ最近、改めて難聴に注目が集まっているのには別の理由があった。

 それは、難聴が「認知症」を引き起こす、“最大”のリスク因子であるとの研究結果がもたらされたからだ。

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