俳優「小泉孝太郎」が着々と実力を付けている いかりや長介、ムロツヨシとの出会い

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 政界で陽の当たる道を歩き続け、このほどキャスターの滝川クリステル(41)と結婚した小泉進次郎衆院議員(38)。その事実はニュース番組のトップで扱われており、もはや国民的スターと呼んでもいいだろう。それと比べると、俳優の道を選んだ兄の小泉孝太郎(41)はマイナーな存在と見られがち。だが、実は伸長著しく、人気も評価も高まっているのだ。

 弟の小泉進次郎氏と比較すると、話題になることが少ない小泉孝太郎だが、その力量を高く評価するテレビ局スタッフやドラマ評者は数多い。

 元毎日放送プロデューサーで同志社女子大・影山貴彦教授(メディアエンターテインメント論)も、そんな1人だ。

「自分の力で道を切り拓いてきたところに凄みを感じます。着々と実績を積み重ね、成功しているところが凄い」

 そう、言い方は悪いが、弟の進次郎氏は、家業を継いだだけなのである。父親が小泉純一郎元首相(77)なのは知られているとおり。曾祖父・小泉又次郎(1865~1951)の代から数えると、4代目の世襲議員だ。

 一方、孝太郎は、コネの利かない俳優の道を選んだ。親の名声など意味を持たず、力で競り勝つしかない世界である。話題性で仕事が入るのはデビュー当初だけ。だから2世俳優で成功する割合は、実は少ない。

 孝太郎は当初、「話題先行」「素のままの育ちのいい若者しか演じられない」などと叩かれた。本人は腐った時期もあったのではないか。だが、近年は違う。

 9月6日に最終話を迎えた孝太郎が主演する連続ドラマ『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』(テレビ東京・金曜・午後8時)も好調。8月30日放送の視聴率は7・9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

「なんだ、一桁じゃないか」と言うなかれ。天下の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺』(NHK)ですら、最近では5~6%しか獲れていないのだ。まして制作費などでハンデのあるテレ東である。『警視庁ゼロ係』の制作費は、おそらく『いだてん』の半分以下だろう。

『警視庁ゼロ係』はまず2016年に放送され、それが好評を博したことから、続編、続々編がつくられ、今作はシーズン4。主演ドラマシリーズを持っている点でも、孝太郎は評価できる。シリーズ化は成功の証なのだから。

 孝太郎の役柄は小早川冬彦警視。東大法学部卒のキャリア組であるものの、空気をまったく読まず、思うままに行動してしまうため、エリートコースから外された。頭はいいが、どこか頼りなく、いい加減なところもあり、昼行灯のような存在。複雑な人物で、決して簡単な役柄ではない。

 今年1月から3月まで放送された『グッドワイフ』(TBS)には準主役級で登場し、正義の人かワルなのか最後まで分からない弁護士に扮した。これまた難役だった。2015年の『下町ロケット』(TBS)では、主人公の良心的な町工場経営者・佃航平(阿部寛[55])と敵対する悪辣なメーカー経営者を好演。屈折した人物で、やはり簡単な役柄ではなかった。

 2002年の俳優デビューから18年目。育ちの良さはいまだ隠せないが、演技の幅が飛躍的に広がった。

「ページをめくるたび、違った魅力を見せてくれるような俳優になりましたね」(前出・影山教授)

 これまでの苦労もプラスになっているのだろう。

 子供のころ見た映画『E.T.』に感動し、人に夢を与えられる俳優を志したが、最初からつまずいた。日大在学中の2000年、「21世紀の石原裕次郎を捜せ!」と銘打たれた石原プロモーションのオーディションに応募したものの、落ちてしまったのだ。

 身長が180センチに満たなかったことが表向きの理由だが、雰囲気がワイルドでないところも石原プロに合わないと判断されたようだ。ちなみに、グランプリを獲得したのは徳重聡(41)で、こちらは2018年の『下町ロケット』(TBS)に出演した。

 孝太郎は結局、ザ・ドリフターズなどが在籍する現在の所属事務所、イザワオフィスへ。故・いかりや長介さん(1931~2004)に師事する。

 いかりやさんは、孝太郎に口うるさいことを言わなかったが、時折、金言を与えた。たとえば、こんな話もしたという

「俳優という仕事は40歳なら40歳の自分が嘘偽りなく出る」

 演技には限界がある。内面が表れてしまう。だから、大切に生きろということだろう。

 ミュージシャンからコメディアンになり、そして独学で演技を覚えた、いかりやさんとの出会いは大きかったようだ。石原プロ入りが果たせなかったのは、奇貨だったのだろう。

 そもそも、男臭い「石原軍団」に、ソフトなイメージの孝太郎は合わないはずだ。

「相手に警戒心を与えることなく、懐に入っていけるキャラクターですよね」(同・影山教授)

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