巨人の対広島戦は過去5年間で45勝76敗、リーグ優勝の後に待ち受ける“CSの悪夢”

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2014年の悪夢

 サンスポ(電子版)は7月21日、「巨人の死角はマツダ“コンプレックス”」という記事を掲載した。これは連載「エモやんの舌好調」の1本。タイトルからお分かりの通り、プロ野球解説者の江本孟紀氏(72)の解説記事だ。

 江本氏は巨人ベンチを取材した結果、チームには“マツダスタジアム・コンプレックス”が存在すると指摘。《原監督以下、今季の新コーチングスタッフには、そういう意識がない》が、選手はどんなに自分たちがリードしていても《そのうちひっくり返されるのでは…と不安を抱いている》と言うのだ。

 巨人の選手から直に話を訊いているのだから実にリアルだ。実際、5年も負け続けているのだから、コンプレックスがない方がおかしいだろう。とは言え、なぜ広島を苦手にしているのかという根源的な疑問への答えは書かれていない。

 まだまだある。次はニッポン放送がネット用のニュース記事として8月14日に配信した「巨人がマツダスタジアムで勝てないのは『ベンチの居心地』が悪いから!?」を見てみよう。

 同局のラジオ番組「草野満代 夕暮れWONDER4」(月――木:16:00~)に、元巨人でプロ野球解説者の川相昌弘氏(54)が出演。「なぜ巨人はマツダスタジアムを苦手にするのか」をテーマに、草野満代(52)とトークを展開、それを元にネット記事にしたというわけだ。それでは川相氏の指摘を引用させていただこう。

《「実は、マツダスタジアムのベンチの居心地があんまり良くないんですよ。というのも、マツダスタジアムのベンチに座ると、試合の様子がほとんど見えない。選手もベンチの前のバーのところにいるわけですけど、当時ヘッドコーチだった僕も、グラウンドの選手にサインを出しづらいんです。相手チームのベンチに丸見えなんですよ。ベンチの居心地がよくなくて『なんでこんな作りにしたんだろう?』と思いましたね」》

 何やら陰謀論めいてきたが、最後は夕刊フジ(電子版)が18年7月30日に掲載した「巨人も広島も西武も…『あの鬼門球場』で勝てない怪現象の謎」をご紹介しよう。複数の論考が展開されているので、箇条書きで紹介させていただく。

◆セ・リーグ最東端の巨人が、最西端の広島に行くだけで遠征疲れする。
◆空調の効いたドームに慣れた巨人の選手が、屋外球場でやるのは厳しい。
◆マツダのマウンドは、黒田博樹(44)が復帰した際、メジャー並みに固くした。巨人など他球団の投手は、これほど固いマウンドを経験していない。戸惑っている間に、カープ打線が捉えてしまう。
◆大前提として、野球はホームが有利。自宅から通うことが可能で、ロッカーや食堂も使い慣れているから落ち着く。個別練習の時間も取りやすいし、何より地元ファンの声援が大きい。

 いずれも興味深い指摘ではあるのだが、やはり「71年ぶり2度目」という“大記録”の原因としては説得力がない。結局のところ、“マツダスタジアムの呪い”は、依然として原因が不明なのだ。

 しかも広島だけでなく、DeNAにも負け越している。9月7日現在、9勝10敗という対戦成績なのだ。今年の巨人、上位球団には決して強くない。プロ野球を担当する記者が解説する。

「もし巨人が優勝したとして、CSファイナルステージは現在2位のDeNAより、3位の広島に進出される方が嫌でしょう。江本さんの指摘通り、5年分の負け越しが選手に苦手意識を与えているのは間違いありません。巨人優勝ならファイナルステージは全試合が東京ドームで行われます。広島が対戦相手でも、“マツダスタジアムの呪い”からは解放されるわけです。とはいえ、何と今季は東京ドームでも広島戦は5勝6敗と負け越しています。ホームの利が望める状態だとは思えません」

 今年、巨人がセリーグを制覇すれば、2014年以来となる。ところが、熱心な巨人ファンなら記憶が蘇るだろうが、この年は悪夢のようなシーズンの幕切れが待っていた。

 1位巨人、2位阪神、3位広島という順位でCSがスタート。2位の阪神は順調に3位の広島を退け、東京ドームに乗り込む。すると何と、ホームの東京ドームで巨人は第1戦から4連敗という大敗北。アドバンテージの1勝が吹っ飛び、阪神が日本シリーズに進出を決めてしまう。

 CSで3位の広島が2位のDeNAを破り、東京ドームの大舞台を4タテで巨人を下して大下剋上の達成――G党にとっては悪夢、広島ファンにとっては歓喜のシナリオだが、果たしてどんな結果になるか。

週刊新潮WEB取材班

2019年9月9日掲載

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