阪神・藤浪晋太郎、ファンにも“内角攻め”でひんしゅく…「イップス」を改善できない苦悩

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ファンに対して“内角攻め”

 一方でメンタル面ではこんな指摘もあるという。

「同学年である大谷翔平(日本ハム→エンゼルス)と比較されることが“重荷”になっているようです。大谷が在籍した日本ハムでは、将来のメジャー挑戦も見据えて、長期的な育成計画を立てていましたが、阪神は目先の勝利や営業面を優先して、一年目から藤浪を酷使してしまった。タイミングが悪く、藤浪の成績が低迷し出した時期に、大谷は一気にその才能を開花させた。こうした状況が、藤浪をさらに追い詰めていったと見られています」(前出の球団関係者)

 そんなストレスをため込んだせいだろうか、藤浪は、投げる球だけでなく、グラウンド外でも“大荒れ”だった。7月には二軍の施設がある鳴尾浜でファンとトラブルも起こしている。

「藤浪が球場と競技場の間を移動する際、10人ほどのファンがサインを求めて集まっていました。ほとんどが子供でしたが、彼はまったく返事もせずに立ち去ろうとした。大人の男性が『返事くらいしてやれよ』と苦言を呈すると、藤浪は『あっ?』と挑発的な態度で返した。そりゃ、男性のファンも怒りますよね。あわてて関係者が止めに入るほどでした」(様子を見ていた阪神ファン)

 ファンに対して“内角攻め”とは頂けないお話であるが、藤浪が精神的、そして技術的にも再生する道はあるのだろうか。イップスに詳しいスポーツライターはこう話す。

「近年、イップスに悩む選手向けの治療院が各地で開業しています。そこではメンタルのみでなく、技術的な部分からのアプローチも行っている。ただ、イップスの根本的な解決方法ははっきりしていない。本人が腰を据えて取り組むことはもちろん、周囲のサポートが必要不可欠で、解決には長い時間を要することもあります」

 夏休み最後となる8月31日のソフトバンク戦。先発した藤浪は、5回を投げて被安打7本7失点5四死球という大乱調。福岡県・筑後に集まった虎党の期待を完璧に裏切ってしまった。

 球場記者席では、トラ番記者が「ここまでくると、藤浪をトレードで放出する話が、いよいよ信憑性を増してきた」と語り合っている。まだ25歳と若い藤浪にしてみれば、イップスの改善に向けて“職場環境”を変えるのも、決して悪い話ではないかもしれない。

 藤浪が再び一軍のマウンドで躍動する姿を期待したい。

週刊新潮WEB取材班

2019年9月8日掲載

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