陣内孝則、松重豊、鈴木浩介… 福岡の名門私立高校が人気俳優を次々輩出する理由

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地頭の良さ

 西南学院高の話に戻る。井上の場合、高校時代は脇目も振らずにダンスやピアノのレッスンに没頭したという。卒業後は米国に1年間滞在し、本場のミュージカルなどを見た後 、東京芸大学声楽科へ。

 そして、在学中の2000年、ミュージカル「エリザベート」の皇太子ルドルフ役でデビューを飾ると、これが大評判となり、たちまちスターとなっていく。

 井上もまた高校生にありがちな道を歩いたとは言えない。それを許す西南学院高から俳優が生まれやすいのは自然なことなのかもしれない。

 また、進学高であるところも大きなポイントに違いない。俳優にとって大切なのは「一声、二顔、三姿(1番目は声で2番目は顔、3番目は姿)」と古くから言われるが、演出家たちは「なにより大切なのは頭の良さ」だと説く。

 学歴が問題なのではない。むしろ学歴は関係ない。問われるのは「地頭」の良さだ。

 なぜ、地頭の良さが重んじられるかというと、脚本を深く理解し、演じる役の人物像をつくり上げるには、考える力が求められるからだ。特に容姿だけで勝負できなくなる中年期以降は、地頭の良さが俳優の良し悪しを左右すると言っても過言ではない。

 この点でも西南学院高は俳優を生むのに適していると言えるだろう。

 陣内、松重、鈴木は愛校心を隠さない。陣内はクイズ番組などで学校自慢をする。松重と鈴木は今年5月に放送された日本テレビ系の単発番組で母校を笑顔で訪れた。

「松重さんは同窓会に来たこともあります。1人のOBとして。忙しいためか、2次会からの参加でしたけれども」(同・西南学院高の50代OB)

 俳優以外も同校出身者は政治家、官僚、学者、財界人、芸術家などバラエティーに富んでいる。

 もしも4人がスキャンダルを起こしてしまったら、それを取材する人までいる。芸能リポーターの井上公造氏(62)もまたOBなのだ。

高堀冬彦(ライター、エディター)
1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長。2019年4月退社。独立

週刊新潮WEB取材班

2019年9月7日掲載

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