【特別連載】引き裂かれた時を越えて――「二・二六事件」に殉じた兄よ(2)「デスマスクが語るもの」(前編) 引き裂かれた時を越えて――「二・二六事件」に殉じた兄よ

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 本連載の主人公、6月に104歳で他界した青森県弘前市の波多江たまさんの遺品の絵を、第1回目でプロローグとして紹介させてもらった。1936(昭和11)年2月26日に起きた「二・二六事件」で、蹶起した青年将校ら15人が陸軍衛戍刑務所で銃殺刑となった同年7月12日の朝。隣接する代々木原演習場の一角に仮設された遺体引き渡し所の絵だ。絵に書きこまれたメモに、「安田さんは、デスマスクを取っていた」とある。気になった読者もいることだろう。

「安田さん」とは、たまさんの兄、対馬勝雄歩兵中尉=享年28、青森県出身=らと一緒に刑死した安田優(ゆたか)砲兵少尉=同24、熊本県天草出身=の遺族のことだ。...

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