JALに「飲酒パイロット」が後を絶たないのは「組織風土の甘さ」が原因だった

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まるで禁酒令

 JALの元機長で航空評論家の小林宏之氏が言う。

「オートパイロットでは手作業はなくとも、判断力を要する場面は増えます。高度や速度は適切か、気流が乱れていないか。様々なことに気を遣い、トイレ以外でコックピットを離れることができません。オートパイロットがあるから楽、というわけではないのです」

 原因は別にあると、先の記者は指摘する。

「JALは2010年に経営破綻しましたが、金融機関からの借金5千億円強を棒引きしてもらうなど優遇措置を受けました。法人税も今年の3月期まで減免。国に守られているような状況で社員の意識改革が徹底できるか、疑問です」

 現役社員はこう証言する。

「昨年のイギリスの一件以来、国内、海外問わず、滞在先での飲酒はダメだ、と制限され、社内の飲み会も自粛を求められました。まるで禁酒令。飲めなかったストレスで乗務員に反動があったのかもしれません」

 厳しい規制が逆効果となってしまったようだ。というのも、

「乗務員の飲酒問題について、JALは社内処分がかつて緩かった。最近は厳罰化しているとはいえ、そうした組織風土の甘さが飲酒問題がなくならない原因のひとつではないでしょうか」(小林氏)

 飲酒に寛容なのもJALの文化か。そういえば、CAにはソムリエの資格を取っている者も多いとか。酒の上での失敗はご勘弁願いたいのだが……。

週刊新潮 2019年8月29日号掲載

ワイド特集「『テーマは人間』の自由研究」より

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