中山忍が「姉の呪縛」を乗り越え「2時間ドラマの新女王」になるまで

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2時間ドラマ139本

 92年放送の「刑事貴族3」の出演者は、松方弘樹など錚々たる面々だった。

「スタッフさんたちが怖かった。立ち位置を間違えると、カメラマンさんからは、“写ってねえんだよ。自分から写れ”と。あまりの怖さに泣いてしまうと、“目が腫れるから泣くな”と言われるほどでした」

 怒号が飛び交う現場で、中山に優しい言葉をかけてくれた共演者もいたという。

「撮影の合間、水谷豊さんは“演技中は瞬きをしない方がいい”とか、“台詞は、語尾までしっかり話した方がいい”と演技のイロハを丁寧に教えてくれました」

 もう一人は往年のバイプレイヤー、地井武男だった。

「当時、芸歴の浅い俳優からメイクをしてもらい、最後にスタジオ入りする松方さんをみんなで待つのが慣習でした。ある時、私が時間ギリギリにスタジオ入りしたら、地井さんから“一番下なんだから、誰よりも早く準備をしておくものだろう”と叱られたのです」

 その後、スタジオの隅へ呼ばれて、

「地井さんは“礼儀はきちんとしなきゃいけないが、芝居という一つの土俵に立った時は遠慮しちゃいけない”と励ましてくれました。その後、地井さんの遺作となったドラマで共演した時、“いい役者になったな”と仰っていただけて……」

 今年デビュー30周年の中山はこれまで2時間ドラマ139本、連続ドラマ23本、単発ドラマ45本に出演し、“2時間ドラマの新女王”と呼ばれるまでに。また、初の座長を務める舞台「レッドスネーク、カモン!」が10月5日から東京・三越劇場で始まるという。

 で、過去に不仲を報じられた姉との共演はNGか。

「姉との関係は、自転車に乗りピンク・レディーの歌を歌っていた子供の頃のまま。機会があれば、もちろん共演したいと思います」

 演技力を身につけて今の地位を築いた中山は、完全に姉の呪縛を乗り越えたようだ。

週刊新潮 2019年8月15・22日号掲載

ワイド特集「夏女の打ち上げ花火」より

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