“爆弾処理”的役回り 近藤春菜は第二のマツコ・デラックスになるのか?

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重宝され続ける春菜の重責 第二のマツコになるのか

 カンの良さとバランス感覚といえば、マツコ・デラックスだ。毒舌といっても気遣いがあり目端がきくので、やはり炎上案件やお騒がせタレントとも相性がいい。巨体の女装家という、見た目のインパクトによって多少の物言いは緩和されるという立ち位置も春菜と近い。だから各局で引っ張りだこで、マツコファンという女性タレントは多いが、春菜も吉高由里子やPerfumeなどの人気芸能人と交流が深く、「春菜会」なるものさえあると聞く。ちなみに春菜が女優陣と飲む際、支払いは春菜持ちという報道もあった。これまた周囲の空気を読んで財布を開いているのでは、という心配をしてしまうほどだ。

 ニホンモニターによれば、2019年上半期のタレント番組出演本数ランキングではマツコを抑えて5位という順位の春菜。しかしこれだけ「使い勝手の良い」春菜も、マツコのように各局でメインMCを張らせてもらえるわけではない。それは彼女の芸人としての謙虚さと矜持が阻む、哀しい宿命のようにも思える。

 友近や渡辺直美、ブルゾンちえみなど、人気女性芸人の中にはお笑い以上に自己表現をしたいという欲求が見えるタイプもいる。でも春菜にはそういう欲が見られない。あくまでも「笑われる側」としての立場を全うするという、頑固な意思さえ感じる。だからひな壇芸人として空気を読むのが実に上手いが、メインMCとして他人に空気を読ませることには興味さえ示さないのではないだろうか。そのストイックさがあるからこそ好感度が高いとも言えるし、逆に少しでも上昇志向を見せれば「分不相応だ」と手のひら返しをされる空気を読んでいるとも言えるだろう。

 つまり春菜はあえて「第二のマツコ」の道は選んでいない気がする。“爆弾処理”を粛々と請け負い続ける職人芸的な姿勢は、“爆弾処理”を安価かつ穏便に済ませたいテレビ局と利害は一致する。きょうもそこかしこで炎上が起きる世の中、ますます春菜の希少性は高まり、重責を担い続けることになる。

 しかも今年は24時間テレビのランナーにも抜擢された。日テレの常套手段、困ったときの近藤春菜。近年は批判も多いこの企画、人選によってガス抜きしようとしたのならこの上ない起用である。とはいえ、さすがになんでもかんでも背負わせすぎではないか。彼女が倒れたら、穴埋めをできる人材はなかなかいないだろう。愛が地球を救うとして、春菜は誰が救うのか。明石家さんまとのやりとりでは、「ブタじゃねーよ、ヒューマンだよ」と言うのがお約束だが、まさにもう少し人道的な扱いが求められる気さえする。

(冨士海ネコ)

2019年8月18日掲載

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