「雅子皇后」だけでない皇族の語学力、雅子様よりにさらに上といわれるのは誰?

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語学力ピカイチの皇族は

 しかし、皇族で語学力ピカイチというのは、なんといっても高円宮妃久子さまだ。父の鳥取滋治郎氏はフランス三井物産の社長をつとめたビジネスマンだが、母の二三子さんは、外交官で『国際儀礼とエチケット』という著書が有名なプロトコール(儀礼)の最高権威だった友田二郎氏の令嬢で、フランス語の普及につとめた功績でレジョンドヌール勲章をもらっている。さらに、友田夫人は九条家を通じて昭和天皇の又従姉妹にあたる。

 久子さまは、聖心女学院中等部ののち渡英して現地校に入り、ケンブリッジ大学ガートン・カレッジで中国学・人類学などを学ばれ、帰国後は翻訳や通訳をされていた。プロの通訳などの評判では、やはり通訳を仕事としてされていただけに、語学ができるというだけでなく、疑いなく極めて高度でレベルの高い英語であり、ある意味で外交官としての実用性に力点を置いた雅子さまのものよりさらに一段上だ。

 オリンピック招致のときの演説では、母親ゆずりのフランス語もおおいに役だった。なにしろ、IOCではフランス語のほうが英語に優先するのは、NHK大河ドラマ「いだてん」でも紹介されていたとおりだ。

 もうひとり、三笠宮信子さまの英語も素晴らしい。いうまでもなく、吉田茂の孫、大久保利通の玄孫である。母の麻生和子はローマ聖心女学院からロンドン大学に留学。長男である麻生太郎蔵相をバイリンガルに育てようとしたのが行き過ぎて、太郎が漢字が苦手になったという説もある。信子さまもイギリスのロスリンハウス・カレッジに留学され、きちんとしたクイーンズ・イングリッシュを話される。

 このとおり、皇族の皆様の語学水準や社交術の水準は非常に高く、これは、日本にとっての財産だ。それに比べると政界はもちろん、日本のエリート層の語学や国際的教養はもうひとつだし、さらに、近年では留学熱も衰えている。

 かつて、明治の日本の指導者たちは子女をこぞって留学させたし、それが、日清・日露戦争の勝利にもつながっていったのだが、大正から内向きになって、蒋介石夫人の宋美齢などの活躍の前に外交戦で中国にも負けてしまった。その轍を踏まないことを祈るばかりだ。

八幡和郎(やわたかずお)
評論家。1951年滋賀県生まれ。東大法学部卒。フランス国立行政学院(ENA)留学。通産省に入り、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任。徳島文理大学教授。著書に『世界の王室 うんちく大全』『令和日本史記』など。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年8月16日掲載

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