「雅子皇后」だけでない皇族の語学力、雅子様よりにさらに上といわれるのは誰?
「雅子皇后がトランプ夫妻と通訳なしで話せて凄い」といったニュースが流れて、皇室外交への期待が高まっている。
なにしろ、上皇御夫妻も含めて皇族方の語学力はおしなべて高いのであって、雅子さまに限ったことでない。ブエノスアイレスのIOC総会で、高円宮妃のスピーチが東京五輪誘致の決め手となったことも忘れてはならない。
そこで、皇族方の語学力を少し精査して失礼ながら通信簿のようなものもつけてみようと思う。
また、英語だけでなく、他の言葉も大事だ。「両陛下がフランスのマクロン大統領夫妻とフランス語で挨拶をかわされた」といったことも報道されたが、これは、本当に称賛に値する。フランス語に誇りをもつフランス人もおおいに喜んだのである。
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雅子さまの経歴を見れば、英語が上手なのは当たり前というか、ネイティブに近いことが分かる。お生まれになったのは、父親で外交官だった恆氏が本省勤務だったときなので東京だが、2歳になるまでに父親の赴任のためにモスクワに移り現地の保育園に通われた。このためにロシア語がいまも日常会話ならできるようだ。
このあと、恆氏はニューヨークの国連代表部に転勤になったので、市内ブロンクスに住んで、現地の幼稚園や小学校に通ったが、恆氏が帰国し福田赳夫外務大臣の秘書官となったので、目黒区や新宿区の公立学校に通い、二度目のチャレンジで母親の母校である田園調布雙葉小学校の3年生に編入学した。
恆氏はその後、福田が総理となったのでのちに首相となる福田康夫とともにその秘書官となった。このように、福田家と小和田家のつながりには格別のものがある。
そののち、恆氏は在米日本大使館公使の肩書きでハーバード大学で教鞭を執ることになり、雅子さまもボストン市郊外ベルモント市のハイスクール、ついでハーバード大学経済学部に入学した。このあいだ、夏休みにはドイツとフランス(グルノーブル市)の夏期講座に通われている。
大学卒業後は日本に戻り東京大学法学部に学士入学。さらに、外交官試験に合格。このころに陛下との出会いがあった。外務省では語学研修でフランス語を専攻し、二年目からは英国のオックスフォード大学へ留学。夏休みには二度目のフランス(ブザンソン)での語学研修をされた。ただし、修士号はとられていない。
天賦の才に加えて、外交官の父親と外資系企業に勤務経験もある母親の薫陶、さらに、父親の勤務地がアメリカだったことなど恵まれた条件が重なっていたのである。
こうした経歴をみれば、雅子さまの主たる教育の場は海外、とくに英語圏でのもので、フランス語やドイツ語の学習も、英米でのかなり優秀な学生として通常のものだったというべきだろう。
トランプ大統領のメラニア夫人は、社会主義時代のユーゴスラビア(現在のスロベニア。第1次世界大戦まではオーストリア領でドイツ文化圏)に生まれ、26歳にしてはじめて渡米したのだから、雅子さまと通訳なしで話せたのを誉めるべきはメラニア夫人の方だろう。実際、メラニア夫人は結婚当時は英語はかなり不自由だったといわれる。その意味で、新聞の見出しには少し違和感がある
むしろ、雅子さまは、東京大学へ学士入学したり、外交官試験に合格されたほうを誉めるべきだ。ただし、学士入学試験は一種のAO入試であり、東京大学は卒業はされていないし、外交官試験は外交官の子弟は通りやすいといわれているので、少し割り引いて受け取るべきかもしれない。
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