広島カープ・緒方監督が怠慢選手に「パンチ6発」 今どき鉄拳制裁は是か非か

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球団本部長が語るには

 平成は令和となり、ラジカセなんかと一緒に愛のムチやシゴキもガラクタ箱に入れられてしまった恰好だ。体罰は絶対悪という風潮が大勢を占める中、緒方監督はどう考えているのか。直撃すると、

「今、ものすごい、そういうことの指導に対して、本当に難しいことなんで。で、下手に嘘とか、そういうことになってしまうと……」

 そう絞り出した後は「広報を通して」と言うのみなので、責任者である広島カープの鈴木清明常務取締役(球団本部長)にご登場頂こう。監督とは、「彼が20歳の時にアメリカ留学へ連れて行って以来の付き合い」なのだと言う。

「監督と選手本人に2度ずつ、その他の関係者にも聴取しました。『パンチ6発』というのは事実ではない。ただ、プレーに対する姿勢を糺す過程において、手を出す行為があったことは事実です。監督本人は、“野間選手の能力を評価しており、怠慢なプレーに対して、あってはならないと叱責をしている中で手が出てしまった。野間選手に影響が及んで、プレーに集中できなくなってしまうのは本意ではなく、申し訳ない”と言っていました。監督は一本気で若い頃からストイック。取り繕って嘘を言うことはできないタイプで、怖いオヤジかもしれないけれど、愛情のあるオヤジなんです」

 掌底は複数回か?と質すと、それを否定はしなかった。では、野間の反応は?

「“僕は監督の気持ちも意図もわかります。何の不満も恨みもありません。翌日から普通に監督と話をしています”と言っていました。オーナーも強い口調で、“(暴力は)一切ダメだ”ということで、球団としては監督に対して厳重注意という処分を下しました」

 そして、「推測ですが……」と付け足して、

「あの日は1軍に上がる、あるいは2軍に落ちる選手を決めた日に当たります。選手には自覚を持ってほしかったのだと思います」

 事実、野間とポジションを争う長野が登録を抹消されている。

「手が出たというのは感情的になってしまったんでしょうけれど、怒りで錯乱してというわけではないんです。いじめやドロドロした人間関係があって手が出るのと、愛情ゆえに何とかしてほしいと思って手を出してしまった場合とが同列に扱われてしまう世の中です。そもそもこれらに境界線を引くのは難しい。全ての暴力はいけないし許されない、それ自体は正しいのですが」

 暴力にも色々ある。そういう議論が成立しない時代の“生き辛さ”を問わず語りに語っていて、真率な響きがある。他方、野間を長野らベテランが説得した話について球団側は、

「そのような事実があったか否かはわかりません。しかし、2度の聴取で選手に丁寧に聞いており、野間選手が不満を抱いている旨の発言はありませんでした」

 と、煮え切らなかった。

週刊新潮 2019年8月1日号掲載

特集「11連敗の陰に秘された事件 怠慢選手に『嵐の掌底』連打! 広島『緒方監督』の鉄拳制裁は是か非か」より

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