「デヴィ夫人」の“トラブル列伝”が凄い それでもテレビに出演し続ける希有な存在

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国内原告編

●72年3月 捏造・悪意に満ちた記事を書いた朝日新聞を刑事告発

 72年1月3日の朝日新聞に掲載された、連載「日本人」の2回目に登場したのが夫人だった。彼女は当時、パリ在住で、とっくにインドネシア国籍だった。朝日の記者が取材依頼の体でかけた電話で話した雑談を「私の日本人論」にされてしまったという。しかも話してもいないことまで……夫人は3月6日、告訴状を東京地検に提出した。当時の「週刊文春」(72年3月20日号)はこのトラブルを、7ページにわたって紹介している。

●93年7月 「偽装チャリティを演出」と報じた「週刊新潮」に損害賠償5000万円を要求

 前出のコロラドでの禁固刑を終えて、帰国した夫人が「国連環境計画支援チャリティ・パーティ」を開催。収益金の全額を国連環境計画に寄付すると発表したものの、「週刊新潮」(93年7月15日号)は、収益金は送金されていないと報じた。夫人は事実無根と損害賠償5000万円を求めて提訴。最終的には99年7月の最高裁で、「記事全体としては大筋で真実性がある」と夫人からの上告が棄却された。

●02年10月 英会話本出版の会見で「発音が違う」と指摘した7媒体を一斉提訴

 当時、すでに芸能界のご意見番と言われていた夫人、国際人という自負もあって「デヴィ夫人のスラスラ英会話」(主婦と生活社)を出版。その会見の席で芸能レポーターが、「週刊文春」が報じた夫人の脱税疑惑について質問した。すると夫人は「文春のしていることは人格暗殺、キャラクター・アソシネーションです」と答えたように聞こえた。よせばいいのにレポーターが、「それはアサシネーション(assassination:暗殺)ですね」と念押し。するとその場にいたスポーツ紙などが、その様子を面白がって書き立てたのだ。夫人は、そもそもそのような発言はなかったと激怒して、スポニチ、サンスポ、日刊スポーツ、夕刊フジ、内外タイムス、「アサヒ芸能」、「週刊大衆」の計7媒体に対し、名誉毀損による損害賠償と謝罪広告を求めて提訴。記者会見の模様を報じて訴えられるという前代未聞の事態に、各社が慌てた。

●11年7月 脱税を指摘してきた国税局を訴える

 パリの自宅を売却したところ渋谷税務署からおよそ4900万円の所得税と重加算税の支払いを命じられた夫人が、「フランスでも課税されているのに二重課税だ」と激怒。国を相手取って裁判に打って出た。相手が何者であろうと物おじしないところはさすがだったが、「課税対象が異なる」と、その主張は通らなかった。

●17年3月 淡路恵子さんの葬儀で形見を奪おうとした、と報じられ長男と出版社を提訴

 夫人が淡路さんの葬儀で棺に納められた着物を譲ってほしい、と発言したなどと報じた「女性自身」「週刊ポスト」、取材で証言した淡路さんの長男をまとめて提訴。いずれも夫人が勝訴した。

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