「みずほ難民」はどこへ行く? 三菱・三井との埋まらない格差

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 7月の3連休、みずほ銀行のATMがすべて停止し、ネット上では“みずほ難民”なる言葉が飛び交った。ライバルの三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、9月22日から相互の店舗外ATMを開放する。なぜ、みずほ銀行は加わらないのか。

 目下、メガバンクで他行のATMから現金を引き出すと平日の日中は108円、18時以降と土日祝日は216円の手数料がかかる。三菱UFJと三井住友のATM相互開放により、両行の預金者は手数料が無料になるか、安くなるという。経済ジャーナリストの刑部久氏によれば、

「相互開放は、メガバンクでは初。両行のATM約1万4千台のうち2818の店舗外を手始めに、今後はすべてのATMを対象にする見通しです」

 相互開放の主な狙いは、キャッシュレス化に伴うコストカット。全国銀行協会によれば、ATMは全国に約20万台あり、維持費は年間約2兆円に上るという。

「みずほは、すぐには加わらないと思います」

 こう苦笑しながら答えるのは、三菱UFJの中堅幹部行員だ。

「2000年にみずほが誕生して以降、2度のトラブルを経て9回目でようやく新システムへの移行が完了した。移行コストは4千億円半ばまで膨れ上がり、その大半をすでに前倒しで会計処理していますからね」

 結果、みずほは3月期決算で純利益が予想の9割減まで落ち込んだ。先の刑部氏が言うには、

「三菱UFJと三井住友との間では、難航が予想される店舗外ATM統廃合の交渉が終盤に差し掛かっている。今後、みずほが参加表明しても、意見が受け入れられる可能性は低いでしょう」

 みずほの預金者は、他行との格差を甘受するしかない?

週刊新潮 2019年7月25日号掲載

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