「Heaven?」「凪のお暇」「ルパンの娘」……今期ドラマに見る、居場所のない男性たちのプレッシャーと孤独

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 吉本にジャニーズ。大手事務所の男性たちに激震が走っている今日このごろ。

 ドラマの世界でも、男性の生きづらさにスポットライトが当たり始める予感がする。

 石原さとみに黒木華に深田恭子。みな美しく華やかで、今期ドラマでも注目の的だ。でもその裏に共通して描かれているのは、「居場所のない男性たちのプレッシャーと孤独」ではないだろうか。

 例えば石原さとみ主演の「Heaven?~ご苦楽レストラン~」。なぜか勤めた店が潰れていくジンクス持ちの敏腕シェフや、融通の利かなさからクビ同然で店を辞めたシェフドランなど、「訳あり」の男性ばかりが登場する。

 そして黒木華主演の「凪のお暇」を飾るのは、高橋一生が演じる優秀な社員と誉れ高い我聞慎二。要領の良さと営業スマイルで、仕事も女も上澄みだけをすすって生きていく奴かと思いきや、恋人に拒否されてスナックで号泣。こじらせっぷりを爆発させている。

 さらに「ルパンの娘」での瀬戸康史演じる桜庭和馬も、親や職場にプレッシャーをかけられている役どころだ。深キョン演じる三雲華が属する泥棒一家・Lの一族を追う、華の恋人であり刑事役。名作「CAT’S EYE」と同じような舞台設定はさておき、職場ではLの一族検挙を迫られ、両親からは華との結婚には昇進が条件だと言い渡される。でも肝心な時には必ず気絶させられ、目が覚めた時にお手柄、という有様である。華の父親役である渡部篤郎や兄役の栗原類も、祖母役のどんぐりや母親役の小沢真珠のクセが強すぎて影が薄い。

 少し前から「MeToo」やパンプス反対運動など、女性が声を上げて社会問題化することは増えてきた。「ハーフの子を産みたい方に」というコピーの、3年前の呉服店の広告が炎上したり、女性の役割や性質を決めつけた企業広告を作ればSNSですぐ火がつく。

 一方で、男性が声を上げて社会問題化したニュースはまだそんなに多くない印象がある。育休を申請して退職勧奨に近い人事異動を命じられたメーカー社員のニュースが話題になったが、これも発端は妻側のツイートだった。男性は声を上げないし、上げても一致団結しにくい。特に仕事に関しての判断は、自分一人でなんとかするものという意識が強いのではないだろうか。でも実は、居場所のなさ、男というプレッシャーに苦しむ男性たちは相当数いる。そんなことを改めて感じたのが、今期のドラマである。

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