ジャニー喜多川「子どもたちへの深い愛情が原動力だった」関係者証言集

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「ユーは来なくていい」

 元ジャニーズJr.で作家の平本淳也氏が、ジャニー氏の知られざる一面を明かす。

「私がジャニーズに所属していた頃、恋人ができたことを漏らしたタレントがいました。それを知ったジャニーさんは、皆が集まった場所で淡々と“ユーは明日から来なくていい”と言い放った。同じように、ファンと必要以上に仲良くしているタレントにクビを宣告したこともある。プロとしての自覚がないと判断すれば、グループを壊してでもタレントを切る人でした」

 また、「ミュージックステーション」を立ち上げた、テレビ朝日の元プロデューサー、皇(すめらぎ)達也氏は、

「戦後の少年少女に夢を与えたという意味でジャニーさんの功績は偉大だし、僕の中では永遠の戦友です。ただ、その仕事ぶりには常に厳しさがありました。たとえば、台頭してきた他の事務所の男性アイドルを番組に出すかどうか考えていた時のこと。ジャニーさんは“出したらいいじゃない。ただ、うちのタレントと被るから、うちは出さない方がいいね”と言う。ジャニーズタレントが番組から消えたら大変です。私が“そんなこと言わないで後進に手本を示してくださいよ”と返すと、“わかったよ”と理解してくれた。厳しさの反面、度量もある方でした」

 牙を剥く時の迫力もまた、「帝王」たる所以だろう。

 さらに、日本のメディアではほとんど触れられていないが、冒頭のBBC記事には次のような記述がある。

〈1999年には、喜多川氏が少年たちを事務所で性的に虐待していると告発する一連の記事を、週刊文春が掲載した。喜多川氏は告発内容を全面否定し、週刊文春を名誉毀損で訴えた。裁判には勝訴したが、のちに判決の一部が覆された〉

 事実、2004年、最高裁は文春の敗訴は維持しつつ所属タレントへのセクハラについて記事の重要部分を真実と認めている。また、フォーリーブスの北氏をはじめ、ジャニー氏とのただならぬ関係を告白した元所属タレントは少なくない。

 その実情を元ジャニーズJr.の20代男性が打ち明ける。

「僕らも自宅に呼ばれましたよ。カラオケルームにゲーム機も一式揃っていて遊び放題。しかも、お小遣いまでくれた。確かに、アメリカ育ちのジャニーさんは自然にボディタッチやハグをするし、僕らと添い寝することもありました。一方、ジャニーさんと親しくなれば雑誌に出られたり、若手が出演する番組でマイクを握ることもできた。チャンスを与えてくれたことにはいまも感謝しています」

 半世紀近くに亘って芸能界に君臨し続けたジャニー氏が、人知れず孤独を抱えていたことは想像に難くない。それを癒したのも「子どもたち」だったのだろう。

「独身で子どもがいなかったジャニーさんは、実の親のようにタレントを見つめて守ってくれた」(江木氏)

 時代が移ろい、アイドルの顔ぶれが変わろうとも、稀代のプロデューサーの原動力は常に「子どもたち」への深い愛着にあった。

週刊新潮 2019年7月25日号掲載

特集「稀代のエンターテイナーが隠した『牙』と『孤独』 『江木俊夫』が語る『ジャニー喜多川』の光と影」より

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