テスラ社の自動運転車で初の「交通事故」 夫を奪われた妻の悲痛な叫び

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夫の事故を知ったとき

 事故を引き起こしたことで現行犯逮捕され、まもなく横浜地検が「過失運転致死傷罪」で起訴したのは、伊藤展慶被告(49)。彼が運転していたのは、米電気自動車大手・テスラ社の「モデルX」だった。

 事故当時仕事中だった、櫻井さんの妻は、義母からの連絡で夫の事故を知った。

「“落ち着いて聞いてちょうだい”と前置きされてから、夫が事故で亡くなったと聞かされました。気が動転した私は、高校2年生の娘に電話をかけて“すぐお父さんの実家に来なさい”とだけ伝えるのが精いっぱい。ただ、実家で事実を知った娘は泣き崩れてしまい……。過呼吸を起こして椅子に座ることもできなかった。思春期に入ってからも娘は夫と仲が良く、夫のバイクの後部座席に乗って出かけることもしばしば。初めて渋谷の109に行った時も夫が同伴していました。それだけにショックも大きく、事故から数日は何も口にできない状態でした」

 事故当日の深夜、櫻井さんの妻は神奈川県警の厚木分駐所を訪れている。

「そこで夫と対面しました。体つきですぐに彼だと分かりましたよ。でも、頭蓋骨が砕けて、顔は原形をとどめていませんでした」

 突然の事故で大黒柱を失い、女手ひとつで失意の底にある高校生の娘を育てることとなった母親の心中は察するに余りある。

 遺族側は民事訴訟も辞さない覚悟だが、事故からまもなく始まった刑事裁判で彼らを待ち受けていたのは、あまりにも予想外の展開だった。

 被告人側は、事故の原因が「自動運転自動車」の「暴走」にあると断じ、「無罪」を主張したのである。

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