日本の「カワウソ」ブームに警鐘を鳴らす英国人 1匹100万円で売買の裏に反社会勢力?

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 昨今、犬や猫に迫る勢いで「カワウソ」が人気になっているのをご存知だろうか。日本では絶滅して久しいこの小動物は、猫カフェならぬ「カワウソ・カフェ」で愛でられるほか、SNSを舞台に“活躍中”だ。だが、そこに「いいね!」を押すのは待ってほしい――。ジャーナリストの瀬川牧子氏が、知られざるカワウソ・ビジネスの実態を紹介する。

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 まん丸の目に、よく動く器用な手、そして人懐っこい動作……。ここ数年、日本でペットとして絶大な人気を誇っているカワウソ。流通するのは主に「コツメカワウソ」という種だ。赤ちゃんカワウソであれば、1匹あたり80万~150万円ほどが相場で、犬よりはお高い。にもかかわらず、カワウソを扱うペットショップでは、1年以上前から“入荷”を待つ顧客がたくさんいると聞く(寿命は15年ほどだとか)。

 手軽にカワウソと触れ合える場所を提供したエンターテイメント系カフェも人気だ。東京、名古屋、大阪ほか、全国で20以上を展開する業者もある。

 しかしながらコツメカワウソは、ワシントン条約で取引が制限されている絶滅危惧種でもある。日本だけでなく、インドネシア、タイでも空前のカワウソ・ブームが到来しているという。そんな状況に対し今年5月、海の向こうから「警鐘」が鳴らされた。英国・ロンドンを本拠に置く国際動物擁護NGO団体「World Animal Protection」が、「カワウソ ペット反対キャンペーン」を世界規模で展開しているのだ。

 同団体によると、コツメカワウソの主な生息地である東南アジア圏では、過去30年間で約30%個体数が減少しているという。一連のキャンペーンの柱となっているのが、ドキュメンタリー映像の配信である。同団体は現在、YouTubeで『Pet otters:the truth behind the latest wildlife craze(ペットとしてのカワウソ:最新の野生動物の熱狂的人気、その背後にある真実に迫る)』という動画を配信している。

 映像の見所は、動物学の知識を持つ英国人ディレクター、ウィリアム・フォスター・グランディ(William Foster-Grundy)氏と、人気プレゼンテーター、アーロン・ゲコスキー(Aaron Gekoski)氏が、東南アジアの闇市場を取材する場面だ。密猟の仲介人、闇市場、違法売買人などを隠しカメラで収録した映像は、英語音声ながら必見である。

 だが、日本人として見逃せないのが、前段として描かれる日本でのカワウソの扱われ方だ。カワウソ・カフェやカワウソ動画を配信する人気インフルエンサーに密着したほか、匿名の動物保護調査官に取材している。カフェやペットショップにいるカワウソは、“正規に輸入された個体”であることを謳いつつ、その証明書の類はないというのだ。

「(密輸に)詐欺グループやマフィアが関与していると、警察が捜査のメスを入れている」

「日本のヤクザが、経験上、必ず入って(関与して)いると思います」

 と、映像で捜査官は証言している。

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