山下泰裕会長就任に森喜朗「JOC不要」発言の衝撃

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 山下泰裕氏が日本オリンピック委員会(JOC)会長に就任したが、そのことについて記者に問われた森喜朗・東京五輪組織委員会会長の発言にスポーツ界が凍った。

〈もういっぺんJOCと(日本)スポーツ協会が一本化したらいろんな意味でいいなと思っている〉

 この言葉がなぜスポーツ界を凍らせたか、少し説明が必要だろう。

「森さんが言うように、元々JOCは、スポ協の前身である日本体育協会の一部門でした」

 と大手紙ベテラン記者が解説する。

「かつての体協の会長は代々政治家が就任していたため、スポーツ界は政治の影響を色濃く受けていました。それが決定的となったのが、1980年モスクワ五輪のボイコットです」

 JOCが体協から分離独立を果たしたのは89年。政治の力に屈していたスポーツ界の悲願だった。JOC初代会長は、元西武鉄道会長の堤義明氏が務めた。

 以降、体協は国体、JOCは五輪、と棲み分けている。だが、それを森氏は元に戻そうというのである。

「山下さんといえば、モスクワ五輪ボイコットでみすみす金メダルを逃したご当人。山下氏に限らず、今のJOCはモスクワ五輪で涙をのんだ世代が中核を担っています。そんな新生JOCの門出に際して、森さんのはなむけの言葉はあまりにも痛烈でした」(同)

 もっとも、森氏の主張にも一理あるそうで、

「国体は、2巡目に入った88年から存在意義を疑問視されるようになっています。対する五輪は、プロ化や商業化の波に乗りみるみる肥大化していきました」

 と語るスポーツジャーナリストの満薗文博氏は、

「JOCの傘下にスポ協が入るかたちの一体化であれば、私は賛成です」

“一本”取れるか。

週刊新潮 2019年7月11日号掲載

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